〈ミニマリズム〉というものを何らかの秩序を追求する試みなのだと捉えるなら、字義からして、秩序の対極にある〈ノイズ〉とは相容れないように思える。けれども実際は、ノイズとミニマル・ミュージックの相性は良い。ミニマル・ミュージックを成り立たせるのは必要最小限の要素による反復と配列であって、必ずしも感触の如何によらない。無秩序な音の氾濫から不要なものを削ぎ落として整序すれば、ミニマルを体現できる。一連の過程でノイズのなかから残ってくるのは、そのテクスチャーということになるだろう。テクスチャー、つまり肌理。……という意味で、Emptyset のあたらしい EP がタイトルに “Skin” という語を選んだのは理に適っている。
前のアルバム “Borders” はまだエレクトロニックにつくられていた。この EP はついに生楽器のみでできている。ドラムとギター、それからヴォーカル。使われている楽器は曲制作のためにつくり変えられたものらしいが、これは “Borders” での方法を踏襲している。
質感は繊細だけど、音圧を持って襲来するため決して優しくはない。音というより刺激に近く、刺激が痛みの一種なのだとして、これらの楽曲は痛覚に至る紙一重の際が編成された状態のようにも思える。
Emptyset
Information | |
Origin | Bristol, UK |
Current Location | London, UK / Berlin, Germany |
Years active | 2005 - |
Current members | James Ginzburg, Paul Purgas |
Links | |
Official | http://emptyset.org.uk |
Label | Thrill Jockey http://www.thrilljockey.com/products/skin |