::: BUT IT'S A TRICK, SEE? YOU ONLY THINK IT'S GOT YOU. LOOK, NOW I FIT HERE AND YOU AREN'T CARRYING THE LOOP.

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音楽

Jlin “Akoma” (2024)

パーカッションによる緻密な構成を追及した、ミニマル・ビート・ミュージックの極点。 シカゴのフットワークを独自に昇華させる Jlin が2015年の “Dark Energy”、2017年の “Black Origami” に次いでリリースした 3rdアルバム。 このアルバムではコラボレーシ…

Lost Souls Of Saturn “Reality” (2024)

デトロイトの Seth Troxler とニューヨークの Phil Moffa によるユニットの5年ぶりの2ndアルバム。全8曲、45分。 強弱併せ持つビートでうねるグルーヴにコズミックなシンセ・サウンド、そこにトランペット、ギター、シタールといった生楽器、そしてヴォーカ…

2023年のアルバム10枚

2023年に銘記しておくアルバム10枚。順不同。 Aunty Rayzor “Viral Wreckage” 〈Hip Hop〉 アフロビートで繰り出される英語/ヨルバ語のラップ。 →see. https://lju.hatenablog.com/entry/2023/09/18/210418 Noname “Sundial” 〈Hip Hop〉 今年かなり聴いた。…

Aunty Rayzor “Viral Wreckage” (2023)

ナイジェリアのラゴスで活動するアーティスト。ネオ・バイレやトラップ、ドリルなどのトラックにヨルバ語と英語のパワーあるラップを乗せる。 ウガンダのレーベル Hakuna Kulala からのリリースで Debmaster や Scotch Rolex がトラックを提供する女性ラッパ…

Sleaford Mods “UK GRIM” (2023)

音楽の分類としてはポスト・パンク〜ラップ・パンク。ベースが効いたシンプルで飾り気のない楽曲を背景に進む乾いたラップ。 スタンスとしては「攻撃的ユーモラス」といったところ。当然ながらワーキング・クラスで、ためらうことなくポリティカルでソーシャル…

Rian Treanor & Ocen Jame “Saccades” (2023)

UKのエレクトロニック・ミュージックのプロデューサー Rian Treanor がナイジェリアのレーベル Nyege Nyege に招待されて現地滞在したことを契機に、伝統楽器奏者 Ocen James と共につくったアルバム。マスタリングは Rashad Becker がおこなっている。 欧米…

2022年のアルバム10枚

2022年に銘記しておくアルバム10枚。順不同。 Little Simz “NO THANK YOU” 年末のリリースというのは当年ランキングにエントリーしづらいという点でセールス的に不利なのではと思うのだが、そんなことはどうでもよくなるレベルの完成度。 抑制しつつも力強い…

Kendrick Lamar “Mr. Morale & The Big Steppers” (2022)

このところの Hip Hop/Rap になかなかしっくりくるものがない…としばらく思っていたのだけど、Kendrick Lamar の最新作はすごくよかった。 単体だと Earl Sweatshirtの “2010” とか JPEGMAFIAの “OG!” とか、いいなと思う曲はあっても、革新的というまでには…

Kangding Ray “ULTRACHROMA” (2022)

これまでのダークでクールなインダストリアル・テクノからだいぶ変わった。特に、単調でミニマルだったビートがもっと重層的で構築的なものとなったことが決定的。アクアティックでコズミックなシンセサウンドも際だっていて、それらを伴い繊細で複雑なビー…

700 Bliss “Nothing to Declare” (2022)

Moor Mother (Camae Ayewa) と DJ Haram (Zubeyda Muzeyyen) によるユニットで、2018年のデビューEP “Spa 700” に続くアルバム。 全16曲、2〜3分程度の短い曲がシームレスに続く。 トライバルなパーカッションと重いベース音。異なるエフェクト・異なる音場…

Huerco S. “Plonk” (2022)

“Plonk” (2022) 思うに擬音語というのは外国語のなかで特にニュアンスを掴みづらい。‘vroom’ とか ‘meow’ といったものであれば、目にしたこともあって日本語との対応や感覚的な理解もできるけれど、知らない語だとまったく想像もつかなかったりする。 Huer…

Moritz Von Oswald Trio “Dissent” (2021)

Basic Channel のひとりとしてダブ・テクノを生み出した Moritz von Oswald のグループ。 もともとは Max Loderbauer と Sasu Ripatti(Vladislav Delay)で構成されていたが、2015年の “Sounding Lines” では Sasu Ripatti と替わって Tony Allen、そしてこ…

Andy Stott “Never the Right Time” (2021)

静謐で甘美なヴォーカルとシンセによるテクノ。ノイジーなパルスをまとう重いビートに牽引されつつ、端麗で広がりのあるサウンドスケープへ。 8作品目のアルバムとなる “Never the Right Time” は、前作 “It Should Be Us” での試みからは離れ、“Luxury Prob…

Arab Strap “As Days Get Dark” (2021)

スコットランドのユニット。 終始気怠く物悲しいトラックにポエトリー・リーディング気味なヴォーカルが乗る。歌われるのはモノローグのように叙情的、猥雑でアイロニカルな詞。 2006年に解散していたが、2016年に再結成した。前作から15年経てリリースされた…

Emeka Ogboh “Beyond The Yellow Haze” (2021)

ベルリンを拠点とするナイジェリア出身のアーティスト。現代アートの分野で主に活動してきた人で、出身地であるナイジェリアのラゴスで採取した都市音響を用いたインスタレーションなどを制作してきた。ドクメンタやヴェネツィア・ビエンナーレへ出展したこと…

TYGAPAW “Run 2 U” (2020)

ジャマイカ出身、ブルックリンを拠点とするDJによるデビュー・アルバム。 90年代のデトロイト・テクノを深化させたようなサウンド。 テーマや背景については、electronicbeatsの記事が詳しい。 デトロイトのTVプログラム “ The New Dance Show” に触発されてデ…

Speaker Music “Black Nationalist Sonic Weaponry” (2020)

現在、BLM運動に呼応する音楽がさまざまに生まれる中、このアルバムは鮮烈なサウンド表現と徹底したコンセプトとで傑出している。 ここでおこなわれていることは、簡単に言えばブラック・ミュージックとしてのテクノ再構築。その意義は、Speaker Music が参加…

Klein “Frozen” (2020)

非常に先鋭的。 主にギターとピアノでつくられているけれど、はっきりしたメロディを紡がずに断片化、ノイズやドローンとなって溶け合い、指針となるビートもないまま彷徨いながら情景を連ねていく──というような作品。 過去の音源、2019年の “Lifetime” や…

Zebra Katz “LESS IS MOOR”

インダストリアル・ヒップホップ。 ジャマイカ系アメリカ人。 ベース・ミュージック的な硬質なサウンドに低音ヴォイスのダークなラップを乗せる。 2012年のシングル “Ima Read” でデビューしたが、アルバムとしてはこれが初。 プレスリリースを見ると、タイト…

Beatrice Dillon “Workaround” (2020)

ロンドンを拠点とするミュージシャンの 1st ソロ・アルバム。PAN からのリリースで、マスタリングは Rashad Becker。 ドライでミニマル。 音数が少なく、散りばめられたスタッカートでむしろ空隙を聴かせるタイプの楽曲。軽やかにスウィングするビートが微少…

Moor Mother “Analog Fluids Of Sonic Black Holes” (2019)

フィラデルフィアのラッパー。Rasheedah Phillips と組むコレクティヴ “Black Quantum Futurism” としての活動もおこなっている。 はっきりしたマニフェスト*1を掲げるようなコレクティヴを主宰していることでもわかるように、その音楽スタンスは非常にコン…

The Caretaker “Everywhere At The End Of Time” (2016-2019)

概要 アンビエント・ミュージックが行き着いたひとつの極北と言っていいと思う。 The Caretaker はマンチェスター出身のジェームス・カービーによるプロジェクトで、「記憶」をテーマとしたアンビエント/ノイズの作品をつくり続けている。 “Everywhere at the…

Vanishing Twin “The Age of Immunology” (2019)

ロンドンを拠点とするグループ。出身国も言語も異なる5人から成る。 それぞれ熟練したミュージシャンで、複数のユニットに所属していたりマルチ・アーティストだったりする。メンバー各自の母語で歌われた曲が含まれている。演奏は精妙。サイケデリックと言う…

LOFT “and departt from mono games” (2019)

LOFT の音源タイトルには、吃音的な言語感覚がまとわりついている。 “iinnnn mm m my y yy ww wwaa y yyy” とか “SpOoKiii BleNzz 4 sPoOkii fReNzz” とか。そこまで全体が切り裂かれてなくても、“sSLABicks”、“shouldn wouldn couldn leavv” など、一部に文…

NKISI “7 Directions” (2019)

アフリカ系アーティストのコレクティヴ “NON Worldwide” の創始者のひとり NKISI の 1st フルアルバム。 これまでの音源としては、NON のコンピレーションの他、Warp 内サブレーベル Arcola からリリースした EP “The Dark Orchestra” などがある。このアル…

Barbara Morgenstern “Unschuld und Verwüstung” (2018)

ドイツで活動するエレクトロニカ/エレクトロ・ポップのミュージシャン。 ベルリンの Monika Enterprise でその創立時からアルバムをリリースし続けてきたけれど、10枚目となるこの “Unschuld und Verwüstung(無垢と荒涼)” は、同じベルリンの Staatsakt か…

Colin Self “Siblings” (2018)

ニューヨークとベルリンを拠点に活動するコンポーザー/コレオグラファーによる 2nd アルバム。 6幕構成のオペラ “Elation” を締め括る部分としてつくられたもので、『サイボーグ・フェミニズム』の著者のひとりでもあるダナ・ハラウェイに影響されたアルバムと…

CupcakKe “Eden” (2018)

シカゴ出身のラッパー。今年初めに出した 3rdアルバム “Ephorize” で高い評価を受け、それからほとんど間をおかず同じ年にこのアルバムをリリースすることとなった。 下ネタまみれのリリックでキワモノっぽくありつつも、ラップスキルの高さと、意外にコンシ…

Julia Holter “Aviary” (2018)

LAのコンポーザーによる 5th アルバム。 シンセの他に、弦楽器やトランペット、バグパイプなど生楽器をさまざまに用いたオーケストラルなサウンド。全編に渡り彼女自身のヴォーカルを最大限に活かした楽曲づくりがなされている。 各曲は少しずつ印象が異なる…

epic45 “Through Broken Summer” (2018)

2011年の “Weathering” 以来、7年振りのアルバム。 スタイルは何も変わっていない。期待するものがすべてそのまま維持されている。 彼らが拠点とするイングランドの田園地帯を体現するようなサウンド。慎ましい農家や村といったものではなくて、見渡すかぎり…






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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもうループを背負ってない”
―Angela Mitchell