::: BUT IT'S A TRICK, SEE? YOU ONLY THINK IT'S GOT YOU. LOOK, NOW I FIT HERE AND YOU AREN'T CARRYING THE LOOP.

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LOFT “and departt from mono games” (2019)



and departt from mono games






 LOFT の音源タイトルには、吃音的な言語感覚がまとわりついている。
 “iinnnn mm m my y yy ww wwaa y yyy” とか “SpOoKiii BleNzz 4 sPoOkii fReNzz” とか。そこまで全体が切り裂かれてなくても、“sSLABicks”、“shouldn wouldn couldn leavv” など、一部に文字の転置・重複を含んだものだったり。全般的に、独特の拘泥がはっきり感じ取れる。
 こうした表象は、彼女のサウンドをダイレクトに描き出したものだと言ってもいい。
 躓き、破砕、断片的な転倒。散乱するのは、そこに絡まり合うビート。一定の進行形態を取らず、随所で突っかかるリズム、隙なくパルス/グリッチが押し寄せる攪乱。かといって完全な混沌には陥らず。発語において、多少の吃音があっても全体の意味を受け取るには支障がないことと同じように。


 LOFT/ Aya Sinclair はマンチェスターを拠点とするプロデューサーで、これまでの音源としては、2017年のEP2枚と、2018年のアルバム “Ell Oh Eff Tea Too Oh Won Ate” などがある。
 “and departt from mono games” というタイトルのこの作品は、4曲入りのEP。エディットのコンピレーションだった “Ell Oh Eff Tea Too Oh Won Ate” よりも、EP “Three Settlements Four Ways” の方に近いけれど、リズムの散乱具合は少しばかり増していて、さらにエクスペリメンタルなものになっている。
 とくに M-2 “And Eats Itself and Eats Itself and Eats Itself”、M-4 “That Hyde Trakk”。ドラムンベースを出自としつつも、ノイズ要素をビートに昇華させる手法、断片的メロディを要所に配置してトラックを引き締める巧緻など、捉えがたくも洗練された技で無比の境地に達している。
 ビート・アプローチの先鋭性という点で言うと、バックグラウンドはそれぞれ異なっているが JLIN や NKISI あたりとの同時代性を強く感じさせる。






LOFT
Information
  Birth name  Aya Sinclair
  Current Location   Manchester, UK
 
Links
  SoundCloud  https://soundcloud.com/loftminduk
  Instagram  https://www.instagram.com/loft_aya/
  Twitterhttps://twitter.com/loft_aya
  LabelTri Angle Records  http://tri-anglerecords.com/

ASIN:B07QFD43R3







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―Angela Mitchell