2015-01-01から1年間の記事一覧
反響を強めた音像、ハイトーンでシャープなサウンド。たとえるなら宮殿の奥で燭光を湛える無窓の大広間。周囲を闇に閉ざされながらも、内部できらびやかに輝く空間。 楽曲から呼び起こされるイメージは、Arca 自身のキャラクターや作品のヴィジュアル戦略と…
同時代で押さえておくべき “あたらしい” 音楽はどれかと問われた場合、今ならさしあたり OPN / Oneohtrix Point Never を挙げておけばまちがいないはず。前作 “R Plus Seven” のときにも感じていたことだけど、最新作 “Garden of Delete” を聴いてその認識が…
シドニアの騎士(14) (アフタヌーンKC)作者: 弐瓶勉出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/02/23メディア: コミックこの商品を含むブログ (20件) を見る (アフタヌーンKC)" title="シドニアの騎士(15) (アフタヌーンKC)">シドニアの騎士(15) (アフタヌーンKC)…
“THE COCKPIT ザ・コクピット” 監督 : 三宅唱 2015 音楽映画。それもとびきり純粋で極限的な。 内容としては、あるマンションの小さな一室でヒップホップの曲がひとつできあがるまでを撮ったというもの。 ドキュメンタリー映画ではあるんだけど、視点やシーン…
5th アルバム。昨年の “Solens Arc” からあまり間隔を置かないリリースとなった。 曲調としては、前作と同様にインダストリアル。 ただし、前作ではアンビエントでビートレスのトラックを混ぜて静と動の変化がある構成だったのに対し、このアルバムはBPMの緩…
“ ハーモニー” 監督 : なかむらたかし, マイケル・アリアス 原作:伊藤計劃 2015 原作は「文字・テキストであること」に大きな意味がある作品だった。 アニメ映画版はどうだったか。 コンタクトレンズの拡張現実映像がそのまま表現できるとか、「突発的自傷行…
raster-noton からのリリース。グリッチやパルスによって形成されるタイプのエレクトロニカ。 ドローン/アンビエントな持続音も登場しないわけではないけれど、全体としては硬質で無機的な単音の連鎖が支配的要素を占める。言うなれば破砕されたビート、ある…
id:washburn1975さんによる企画。(http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20151031)おもしろそうだったので参加してみる。とりあえずこんな感じになった。 リンダ リンダ リンダ (2005年、山下敦弘監督) ペルシャ猫を誰も知らない (2009年、バフマン・ゴ…
ギター/ドラム/ベースの3人編成、インストのみで徹底的にミニマル。ストイックで人力テクノな系統。 goat がおこなっている試みにきわめて近い位置にいる。 もともとエレクトロニック・ミュージックとの親和性は高かったと思うけど、このアルバムでは Adrian …
エピローグ作者: 円城塔出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/09/17メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る おもしろかった。 円城塔って、SFのひとつの先鋭地点だと思う。 あまりこういうことから書き始めない方がいいとわかりつつ、でも同…
Demdike Stare が継続的にリリースしてきた限定EPのシリーズ。2013年の “#001” に始まり、2015年の “#007” をもって全7枚14曲で完結した。 販促盤を装い “Testpressing” という名を付されたこのシリーズは、彼ら本来のスタイルを離れ比較的フロアを向いた作…
音響〜エクスペリメンタル系のテクノ/エレクトロニカ。 低音域を効果的に使ったサウンドで、ダブテクノ/ベース・ミュージックと言ってもいいと思う。 細部の精妙なバランスがとても構築的。繊細だけど多様な音の切片が、それぞれ必要最小限の占位によって空間…
触発するゴフマン―やりとりの秩序の社会学作者: 中河伸俊,渡辺克典出版社/メーカー: 新曜社発売日: 2015/05/26メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る アーヴィング・ゴフマン関連の論文集。第1〜3章はゴフマンの理論・方法の概要。第4〜…
ダブ・テクノ〜グリッチ・エレクトロニカ。 Pole / Stefan Betke はベルリンを拠点とするプロデューサーで、2010年まで稼動したレーベル ˜scape のオーナー、その後は自身と同名のレーベル POLE を主宰。マスタリング・エンジニアとしても活動してきた。 近年は…
淵の王作者: 舞城王太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2015/05/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (98件) を見る 0. 良かった。 舞城王太郎の久々に出た長編。三つの章で構成されている。話自体は直接つながっていないので、一見、短編集のように見…
わりと経歴が長く、質の高いエレクトロ・ポップを安定してリリースしているドイツのミュージシャン。 “二重星” と名付けられたこの作品は、前作 “Sweet Silence” から3年振りとなる 7th アルバム。Hauschka や Lucrecia Dalt の他、Monika のオーナー Gudrun …
3rd アルバム。 1st・2nd にあったようなヴォーカル曲はなくて、インスト曲だけの構成。 とはいえこれまでの曲のヴォーカルも、歌を聴かせるというより楽器のひとつとして扱われているような感じだったし、1st・2nd ともに歌詞のないインスト曲も入ってたので…
コロンビア・ゼロ: 新・航空宇宙軍史作者: 谷甲州出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/07/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る 『航空宇宙軍史』シリーズの最新短編集。 過去作品『タナトス戦闘団』『火星鉄道一九』『巡洋艦サラマンダ…
8th アルバム。 “Morning Side” と “Evening Side” と名付けられたふたつの曲だけで構成される。 どちらも約20分程度ある長い曲。 M-1 “Morning Side” 同じモチーフのヴォイス・サンプルが曲を通して流れ続けていることが大きな特徴。 延々とループする曲とい…
最初に聴いたその瞬間に衝撃を受けるというより、聴き込むほどに味わいが増していくようなタイプの音楽。 ミニマル/エクスペリメンタル・テクノといったあたりに区分されつつ、ジャズという語を付した説明をいくつか見かけた。 自分としては、ビート・ミュージ…
鈴木理策写真展 意識の流れ Risaku Suzuki Stream of consciousness 東京オペラシティ アートギャラリー 何の気なしに行ってみた写真展だったんだけど、とても良かった。 知覚とか、光とか。そういう系統。 展示方法も非常に計算されている。 特に “The Othe…
ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム Manga*Anime*Games from Japan 国立新美術館 日本のマンガ、アニメ、ゲームは世界に類を見ない多様な表現をメディアの壁を超えて押し広げつつ、時には世相の変化や進化するテクノロジーを作品世界に映し出し、また時には…
ピアノ/コントラバス/ドラム3人によるユニット。 前作のスタイルはインプロヴィゼーション主体のフリー・ジャズだったらしい。この 2nd アルバムも典型的なジャズ編成のままつくられているけど、楽曲としては、テクノを生楽器でおこなうようなタイプになって…
1997年のトラック “Baby Come On” によってシカゴ・フットワークを創始したと言われる RP Boo の 2nd アルバム。新曲の他、1st アルバム “Legacy” 以前に制作されたトラックも収録されている。 ヴォーカル・サンプルが楽曲の大きな特徴。どの曲でも、印象的な…
“Zendegi” 2010 Greg Egan ISBN:4150120145 ゼンデギ (ハヤカワ文庫SF)作者: グレッグイーガン,山岸真出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/06/24メディア: 文庫この商品を含むブログ (24件) を見る 裏表紙すら目を通さず、ほぼまったく何の情報もないまま…
心から信頼しているミュージシャンのひとり。State River Widening 〜 Phelan Sheppard 〜 Snow Palms などで活動してきた David Sheppard による初のソロ・アルバム。 ダルシマー、マリンバ、フルート、ハープ・ギター、プリペアード・ピアノ…… といった多様な…
良かった。5話でちょっと引き込まれたあと、8話で完全に。それから13話までずっと。なお、原作は未読。以下はアニメ版について。 表現について 動画と、音。 これはもう、京アニという、現在の日本で(ということは当然のことながら世界でも)五指に入るであ…
英国地図製作とシェイクスピア演劇作者: 勝山貴之出版社/メーカー: 英宝社発売日: 2014/11メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 「地図」を媒介にしながらシェイクスピア戯曲を読み解いている本。 文学作品を批評するあり方として新鮮で刺激的に感じ…
ローファイなダブ/レゲエ/ベース・ミュージック。 シンセサイザーやドラムマシーンの音をカセットデッキで編集してトラックをつくっている、というのが特徴。 DJする際にも、2台のカセットデッキをエフェクターにつなげて、ターンテーブルDJと同じようなプレ…
現代詩手帖 2015年 05 月号 [雑誌]出版社/メーカー: 思潮社発売日: 2015/04/28メディア: 雑誌この商品を含むブログ (5件) を見る 現代詩として読むこともできるようなSF、あるいはSFとして読むこともできるような現代詩、についての特集。 この両者が実は相…