::: BUT IT'S A TRICK, SEE? YOU ONLY THINK IT'S GOT YOU. LOOK, NOW I FIT HERE AND YOU AREN'T CARRYING THE LOOP.

 [ABOUT LJU]
 [music log INDEX] 
 

“TAR/ター”






“Tár”
 Director : Todd Field
 United States, Germany, 2022


 当代のクラシック界で栄誉の頂点にある指揮者リディア・ターという人物を主人公に据え、彼女が次第にその栄光から転落していく様を、ケイト・ブランシェットの鬼気迫る熱演で描く映画。
 女性主人公の名前を冠し、主演の演技力が大きな魅力となっている映画という点で、ジェシカ・チャステイン主演の “Miss Sloane(邦題:女神の見えざる手)” に似ている。

 物語の軸は明瞭だが、2時間半以上の長さのなかに謎や仄めかしが散りばめられ、決して固定した解釈が導かれない。
 最初見ただけではよくわからず、二度目以降に気づく発見がいろいろある。

 セクハラ/パワハラ、ジェンダー/セクシュアリティ、キャンセルカルチャーなどの現代的イシューが詰まった映画ではあるけれど、それらの扱い方という面では少なからず問題含みなところがある。クラシック界をリアリティをもって描ききれているかという点にも疑問符が付く。
 そのようにもったいない欠点はあっても、全体としては鑑賞者を引き込む力がある。
 一度この映画を見ると、もう一度見て細部を確認したくなる。理解することを誘導させられるような遡及性のある映画。



以下は覚え書き


冒頭
    • プライベートジェット内のリディアを映しながらスマホでの会話
      「彼女は今朝何時に起きた?」
      「わたしは彼女と一緒じゃなかった。S(=シャロン)が一緒だった」
      「彼女は早起きだよね」(=不眠症のリディア)
      「強迫症なのよ」
      「まるで良心が残ってるみたいじゃない」
      「たぶんね」
      「つまりまだ彼女を愛しているのね」
    • 誰のスマホなのかはっきりしないけど、シャロンが除外されるなら、同乗者の可能性があるのはフランチェスカ。
      フランチェスカとリディア、シャロンの関係性を知る相手ということであれば、相手はおそらくクリスタ……?
 
タイトル
    • ふつうなら最後にあるスタッフクレジットがここで延々と流れ、鑑賞者のフラストレーションを溜めていく。
 
公開対談
    • 舞台袖でナーバスにしているリディア。
    • 挿入される映像。
      フランチェスカの足? 親しげにふたりでジャケット案を選んでいる。
    • 長い対談シーン。(00:09〜00:17)
    • 最初微妙に手が震えているが、やがておさまる。
    • 「わたしは愛を選ぶ」
    • 客席の後ろ姿はおそらくクリスタ。
    • 聴衆のひとりホイットニーと話すリディア。それを見てナーバスなフランチェスカ。
    • ふたたびスマホの会話
      「ドミンゴスの部屋ね」
      「彼女は皮肉のつもりなのよ」
      • Plácido Domingo
        スペインの指揮者。女性歌手9人からセクハラの告発を受ける。
    • 隠れるように退場するスマホ。冒頭と同様に、隠密的な撮影者。
 
支援者カプランとのランチ
    • 「例外もいた」(=クリスタ)
 
ジュリアード
    • ここも長いシーン。00:25〜00:36
 
インタビュー
    • 誰と会話しているのかわからないが、リモート通話でインタビューを受けている模様。(Alec Baldwin)
    • インタビューを受けながらWikipediaの記事を修正するのはたぶんリディア本人。インタビュー中のリディアの横でフランチェスカが編集作業しているという可能性もなくはないが……。
    • さっきおこなわれたばかりの公開対談およびそこで受けた称賛コメントを記事に追加する。
    • このWikipediaのページでリディアのキャリア詳細がよくわかる。
 
ホテル
    • フランチェスカが店舗から出て道路を渡りホテルへ。
    • 画面が切り替わる前に見切れているのがたぶんクリスタの後ろ姿。
    • フランチェスカがフロントから預かった書籍をリディアに渡す。
    • フランチェスカ退場。
    • アナウンサーのことばをまねして繰り返すリディア。(……ここもよくわからないシーン。誰でも脈絡なくこういうことするよね、っていう意味であれば理解できるところではあるけれど、そうすると後のアコーディオンでの奇行のインパクトが少し薄まってしまうかも。)
    • 目に留まったのは花?(ホイットニーから贈られたもの……?)
 
車での移動
    • この映画、車での移動シーンがわりと多用されている。
    • T「わたしのメールは?」
      F「送信済みです」(フランチェスカがリディアのメールを自由に操作できることを示している)
      T「返信を転送してね」(どこに転送? SNSに?)
    • フランチェスカは昨日のインタビューでのマーラーと妻の話が気に入らなかった。当時は女性の権利がなかったので妻は結婚を機に指揮者を諦めざるを得なかったのだと言う。
    • F「クリスタから変なメールが」
      T「無視して」(リディアはクリスタからのメールを見ていない?)
 
飛行機での移動
    • 書籍を確認する。
      ヴィタ・サックヴィル=ウェストの小説 “Challenge”
      • Vita Sackville-West
        小説家。バイセクシュアル。ヴァージニア・ウルフとの恋愛関係もあった。
        “Challenge” ではサックヴィル=ウェストのかつての恋人が女性キャラクターに投影されており、この人物は最終的に海で溺れて自殺する。
    • 扉ページに手書きで何か文章らしきものと組紐模様が書かれている。文章は判読できないが、模様の方はリディアが研究していたアマゾン先住民 Shipibo-Conibo のもの。
    • これを見てクリスタからのものだと察知し、本を棄てる。クリスタの名前をアナグラムで at risk と綴る。
    • 迷宮のような文様は、謎を孕んだ映画の構造と次第に混迷していくリディアの行く末を暗示するものでもあるはず。
 
シャロンの家
 
ペトラの学校
 
事務所(D.G./ドイツ・グラモフォン)
    • トイレでオルガを見かける。(でもここオルガの後ろ姿しか見えていないし、この時点でオーディション参加者だと確信できないような気も……)
    • トイレブースの下から彼女の靴を確認する。
    • オーディションが終わり、衝立の向こうの階段を上がるオルガの靴を見て、自分が書いた評価を消して書き換える。
 
アンドリスとのランチ
 
アパート
    • 作曲
 
ジョギング
    • 女性の悲鳴と救急車のサイレンを聞く。結局何だったのかはわからないまま。
 
アパート
    • 女性の悲鳴を思い出して曲のモチーフに使うことを考えた?
 
リハーサル演奏
    • 下からのダイナミックなアングル。
 
事務所
    • クラリネット奏者を事務所に呼び、副指揮者セバスチャンを解任することを告げる。
 
ジョギング
    • 自分が出てる雑誌を店員からプレゼントされる。(←ここが凋落する前の頂点の位置なのかも)
 
アパート
    • フランチェスカが来訪。
      F「カギを返しに来ました」(←関係性が終わったことの示唆。だがそのわりには冷えた感じはしない? 関係が終わったときリディアはいつも同様にドライなのかもと思わせられる)
    • 一昨日クリスタから送られてきた異常なメールから、クリスタは自殺したと推測。
    • F「3人でペルーに行きましたよね」(←3人は仲が良かった)
      (Wikipediaのバイオグラフィーを見るかぎりでは、リディアがペルーに研究に行ったのは90年代・20代半ばの頃。年齢差を考えるとそのときクリスタとフランチェスカが一緒だったとは考えづらいので、もっとあとのこと?)
    • クリスタのメールを検索するリディア。クリスタをオケに使わないようにと各所へ送ったメールを見返し、全削除。
      (←フランチェスカもリディアのメールボックスにアクセスできるので、クリスタの評判を落とすメールはフランチェスカが送った可能性もあるかもしれないけれど、このシーンでのリディアの表情を見るかぎりではやはりリディア自身がこれらのメールを送ったのだと思える)
      (一方で、これらのメールをフランチェスカも目にしていたはずなので、そのときのフランチェスカはどういった心境だったのかも気になる)
 
シャロンの家
    • チェロ奏者オルガに会って不安を感じたシャロン。
    • T「彼女は若い」
      S「もう会ったのね?」
      T「まだ」(←不用意な性格…)
 
寝室
    • メトロノームの音で起きてしまう。
    • メトロノームの蓋に組紐模様が描かれていることに気づいて狼狽する。(←ここけっこう謎。クリスタが侵入したという可能性もなくはないかもしれないが、単に昔書いたもの…? もしくはクリスタが書いたわけではなくて、単に3人の間で流行っていた行為として自分が書いたものであって、でもそれを見たことでクリスタの書籍を思い出して怯んだ?)
 
ペトラを学校へ送る
    • T「昨日私の寝室に入った?」
      P「入ってない」
      T「ならいい」
 
事務所
    • セバスチャンの部屋で副指揮者解任を告げる。
    • このあたりまではまだ自信に満ちあふれている。
 
シャロンの家
 
事務所
    • 策を弄してフランチェスカのメールボックスを覗き見る。(←策を弄するというほどのものでもないのだが、リディアとの非対称的関係から断れなかったのだと見るべきだろう)
    • クリスタはいまもフランチェスカと良好な関係にあるようで、リディアとのことで助けを求めてきていた。
    • T「クリスタに関するメールは全部消去したんだよね?」
      F「よく覚えてません。もう一度確認してみます」
    • セバスチャンを降板させたことを告げる。
      T「後任候補者にきみの名前も入れるといい」
      だがフランチェスカは心配そうな表情。クリスタのメールを削除していなかったことを知られたためか。そもそもクリスタが死んだことのショックがまだ続いているはず。
 
オルガとのランチ
    • いろいろ会話が空回りする。(オルガに対するリディアはこの後もことごとく噛み合わず、オルガの方が終止優位的立場にいる)
    • ドイツの女性解放運動家クララ・ツェトキンもこの店で食事したのだが、リディアにはあまりよくわからない。
    • リディアはベジタリアン?
    • O「本採用が決まるまで友人のところにいます」
 
アパート
    • 13歳のときのオルガの演奏の録画を見る。
    • 大家のノックで中断させられる。
 
寝室
    • 冷蔵庫の音が気になる。
 
ジョギング
 
リハーサル
    • マーラーのカップリング曲を発表する。
    • チェロのソリストは首席奏者ではなくあらためてオーディションで決めると伝える。
    • ざわめく団員たち。不安になるシャロン。
 
事務局のブリッタとの会話
    • クリスタが自殺したらしく、アカデミーに告発があったと聞かされる。(←事情をわかっている映画鑑賞者からするとリディアの台詞はとても白々しく聞こえるが、ブリッタには自然な反応に聞こえていたことだろう)
 
事務所
    • T「シンガー氏につないで 緊急なんだ」(弁護士? 文脈でわかるところではあるが、この映画の演出はこういったレベルの説明を曖昧なままにする傾向がある)
    • クリスタの死亡記事を見ているリディア。眠れずそのまま朝になった様子。
    • 記事は11/9付で、クリスタが死亡したのは11/7。(この映画、基本的には時系列に沿って大きな跳躍や遡行なしに進むので、クリスタが死亡したのが劇中のどのあたりだったのかは目安がつく。物語としては、オルガの登場とちょうど入れ替わってクリスタが退場するという図式)
 
アンドリスとのランチ
    • A「後任の指揮者は?」
      T「アンドリュー・クラスト」
      A「あの娘ではないんだな?」
    • 非ナチ化の話(キャンセルカルチャー批判?)
 
シャロン
    • オーディション応募者がマーチンひとりしかいない。
 
オーディション
    • マーチンの他にもう1名受けることがわかる。(←オルガが直前に参加を表明したのか、それとも昨晩シャロンが伏せていたのか)
    • 全員一致でオルガに決まる。
 
事務所
    • フランチェスカに、後任の副指揮者にはしないことを伝える。
 
寝室
    • やはり冷蔵庫の音が気になる。
 
アパート
    • オルガと協奏曲の練習。
    • リディアが作曲中の曲をピアノで弾くオルガ。
      それを聞いてオルガのアイデアを採用しようとする?
    • (この曲、劇中でこれだけ描写されているのに、結局完成したのかどうかが曖昧なままとなっている)
 
車でオルガを送る
 
シャロンの家
    • シャロンの母親
      「あの子は姉と出かけた。何かよからぬことをこそこそ話していた」
    • ペトラの部屋に粘土でつくった組紐模様がある。
 
リハーサル
    • チェロ協奏曲
 
事務所
    • フランチェスカが勝手に供述録取書の話を進めていることが判明する。
    • 彼女は昨夜突然辞職のメールを事務局へ送信してきた。
 
シャロンと車
    • T「彼女をかばうのか」
      S「もう降ろしてよ」
 
フランチェスカの家
    • アナグラム “RAT ON RAT”
 
寝室
    • 悪夢を見る。
 

    • 激しいノックで目覚める。
    • 大家に母親の手助けを強制される。
    • 部屋に戻り全身を洗う。
    • オルガが来る。
      O「また遅刻しちゃった」
 
車でオルガを送る
    • 恋人同士のようなやり取り。ここだけ見たら世界的大指揮者と新人チェロ奏者とは見えない。
    • ぬいぐるみのマスコットを忘れたオルガを追って廃墟へ。
    • 歌声が聞こえてくるが見当たらず、地下へ降りる。
    • 扉を閉める音。うしろからの足音。動物の唸り声。
    • 逃げて階段で転倒する。
    • (ここも全体的によくわからないシーン。結局オルガはどこに住んでいるのか)
 
シャロンの家
    • 暴漢に襲われたと説明する。(事実を説明しづらいので嘘をついた?)
 
リハーサル
    • 傷のある顔に驚く団員たち。
    • ここでも暴漢に襲われたと説明。
 
シャロン
    • S「病院へ行って」
      T「予約が取れない」
      S「マーラーは大丈夫だから、エルガーを集中的にやった方がいい」
 
オルガ
    • O「どこで襲撃されたの?」
      T「気にするな」
 
病院
    • 医者「いつ転倒を?」(ここでは転倒と言っている)
 
アパート
    • ジュリアードでの件を映した動画が編集されてSNSで拡散している。
    • ブリッタからの電話で、午後から事務局で会議。
    • アパートを出るとき、死亡した大家が運ばれていくところに階段で出くわす。(それにしてもこの大家は物語上どのような役割を担っているのか?)
 
事務局での会議
    • あの動画だけなら無視できたけど、クリスタの死亡記事にリンクが貼られたので放置できない。だが当面は様子見。
    • T「クリスタは変なものを送ってきたり、Wikipediaのページを改竄したりした」
 
シャロンの家
    • スコアがない。
      S「オフィスにないの?」
      だがどこにもない。
    • (結局スコアはどこに行ったのか…? あとでカプランによるマーラー5番の指揮に使われた? でもどういう経緯で?)
 
ペトラの寝室
    • P「本当に帰ってくる?」
      T「約束するよ」(←あたかも約束が果たされない前振りかのようだが、一応この後ペトラと会うことは会う)
 
プライベートジェット
    • NYへ。
    • S「連れが来るから待ってて」(→オルガのことだが、ここでは姿が描写されない)
 

 
クリスタの遺族サイドと会う
    • 「あなたやあなたの秘書からのメールをお見せすれば、何をしたか思い出すでしょう」
 
カプラン
    • 財団として決定は下り、会うのもこれで最後だと宣言される。
 

    • スマホをいじり続けるオルガ。(←世代間ギャップが如実に表現されている)
    • 窓の外にはリディアを非難する抗議者たち。
 
授業(講演?)
    • リディアの話を聞かず誰かと談笑するオルガ。
    • スマホ画面。誰が誰とチャットしているのかよくわからない。
      オルガとミスリードさせるシーンではあるが、おそらく違う。そもそもオルガはリディアに対してそんなに攻撃的な執着はないと思う。
      画面の位置関係からすると二列目に座っているはずだが……。
      フランチェスカがこんなにリディアへ接近することはなさそうなので、ジュリアードの動画を拡散させた学生なのかも?
      抗議運動がかなり広がっていることを考えると、誰であってもおかしくはない。
    • 拡散したジュリアードの動画といい、ひそかにリディアを撮影する隠れた視点がある。
 
ホテル
    • オルガを夕飯に誘うが断られる。
    • SNS「彼女の新たな犠牲者」
      フランチェスカに似た名前(Frances W.)だが、たぶん別人。(一瞬よぎるSNS画面の名前に目が留まるような観客に対してあえてまぎらわしい名前を示すというのは、意図的にミスリードを誘う演出と言える)
    • そのときちょうどシャロンからの電話があるが、出ない。(←この不作為が後でシャロンを怒らせる。このときリディアはオルガと不貞関係を持っていたのではなかったわけだが…)
    • 廊下に出たら、オルガが外出するところを目撃する。
 

    • あいかわらずスマホを弄りつづけるオルガ。
    • 前もよく出てきたベルリンのトンネル。
 
シャロンの家
    • S「私が許せないのは相談してくれなかったことよ」
    • S「私は妻なのよ」
    • S「Those are the rules.」(←ルールというものをいつも意識しているシャロン)
 
事務局
    • 駐車場でアンドリスたちを見かける。
    • 事務局の会議室には、主立った団員たちが集まっている。
    • ここでおそらく指揮者を降板させられたことが伝えられた。
 
アパート
    • 夜、いつものように蝋燭をつける。
    • ふたたび悪夢を見る。
 
ジム、ジョギング
    • こんなときでもルーティーンを欠かさないリディア。
    • 落書きされたポスターを剥がす。(このあたりから絵に描いたような凋落の描写が続いていく)
 
ペトラの学校
    • シャロンがペトラを連れていってしまう。
 
アパート
    • 大家の娘が来て、アパートを売却すると言われる。
    • 錯乱したようにアコーディオンを弾く。
 
マーラー交響曲第5番
    • 乱入するリディア。指揮者をしているカプランに殴りかかる。
      T「これは私のスコアだ」
    • クラリネット奏者がスコアに書き込む。(←これ何書いたんだろう… ここで乱入されたってこと?)
 
タクシー
    • ニューヨーク。
 
CAMI音楽事務所
    • 「今は一から立て直しましょう」
 
実家
    • むかしのトロフィーやビデオテープ。
    • バーンスタインのビデオを見て心を震わせる。
    • トニーが帰ってくる。(←説明がないが、リディアの兄弟)
 
外国
    • 東南アジアのどこか(←フィリピンらしい)
    • パスポートを見せて建物に入る許可を得て、何人かと面談する。
    • 「作曲者がどこにいるか確認していたんです」(←このあたりもよくわからない……)
      T「図書館でスコアを探したけど見つけられなかった」
      「ここにあります」
      「彼ら2人がこの国を案内します」
    • アジアの雑踏を車で移動し、舟で川を行き滝で泳ぐ。
 
ホテル
    • フロントで薬を受け取る。
    • T「このあたりにマッサージが受けられる場所はある?」
    • 風俗店としてのマッサージパーラーを案内されてしまう。
    • 「金魚鉢へどうぞ。1人選んで。5番でいいですか?」(ここはとてもわかりやすいアイロニー。オーディション。性的関係の相手として女性を選ぶということ)
    • 外に出て嘔吐。
 
リハーサル
    • T「この曲を書いた作曲家の意図を考えてみよう」(←あまり凋落したという感じがせず、新たな仕事に熱心に取り組んでいるようにも見える)
    • 夜、屋台で食事しながら熱心に楽譜を見る。
 
舞台
    • 手前の演奏者のひとりが貧乏揺すりをしている。ジュリアードの生徒がそうだったように。(一見気づきづらいけど、非常に意図的ではっきりした徴表。貧乏揺すりをする奏者を許容しているのは、以前のリディアから大きく変わっていることが示されている)
    • 「モンスターハンター」のゲーム音楽をコスプレイヤーの前でライブ演奏するイベント。
    • この終わり方も解釈が難しい。ふつうに考えればヨーロッパのハイカルチャーからアジアのサブカルチャーへの「転落」という構図だけど……。でもそのわりにはリディア自身はそこまでうちのめされているわけでもなく、積極的に取り組んでいる様子でもある。
 

 






music log INDEX ::

A - B - C - D - E - F - G - H - I - J - K - L - M - N - O - P - Q - R - S - T - U - V - W - X - Y - Z - # - V.A.
“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもうループを背負ってない”
―Angela Mitchell