2017-01-01から1年間の記事一覧
完結したので感想をまとめておく。*1 途中まで読んだ段階で書いた内容*2に、根本的な意味で付け加えるものはない。 ラストとそれに至る過程は期待通りに完璧だった。 台詞内容や物語展開、伏線回収といったところのクオリティの高さ、あるいは構図やコマ割り…
アニメをきっかけにして原作の最新巻まで読んだ。原作は8巻まで出てて、佳境に入ってきている。 漫画版を最初アフタヌーンで見かけたときは絵がわかりづらいと思ってスルーしてたけど、アニメ版見てみたらおもしろかったので、あらためて原作も見たら良さが…
“Analytical Philosophy of History” 1965 Arthur C. Danto ISBN:4772001727 物語としての歴史―歴史の分析哲学作者: アーサー C.ダント,河本英夫出版社/メーカー: 国文社発売日: 1989/03メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (23件) を見る …
アニメ版が終わったので、感想。 全12話で、原作の4巻最後までの内容。 全体的に、音楽・効果音が良かった。 第4話『寺院』の冒頭、電線のあたり。 第10話『波長』でのラジオの音楽が夕景ととても合っていた。 第5話『雨音』も。原作は絵で音をうまく表現して…
マンチェスターのプロデューサー。主にダブ・テクノを追求し、Modern Love の勃興に寄与したひとりに数えられる。 このアルバムはオランダの Delsin からのリリースで、わりと幅の広い趣向の13曲から成っている。清涼、重厚、暗鬱、硬質、情感、爽快 etc。リ…
“Tomorrow and Tomorrow” 2014 Thomas Sweterlitsch ISBN:B014F70OS6 明日と明日 (ハヤカワ文庫SF)作者: トマススウェターリッチ出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/08/31メディア: Kindle版この商品を含むブログ (4件) を見る 拡張現実と仮想現実の技術…
“Artemis” “アルテミス” 2017 Andy Weir アンディ・ウィアー ISBN:B06Y55SB48 Artemis: A Novel作者: Andy Weir出版社/メーカー: Broadway Books発売日: 2017/11/14メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 『火星の人』の著者アンディ・ウィアー…
〈ミニマリズム〉というものを何らかの秩序を追求する試みなのだと捉えるなら、字義からして、秩序の対極にある〈ノイズ〉とは相容れないように思える。けれども実際は、ノイズとミニマル・ミュージックの相性は良い。ミニマル・ミュージックを成り立たせるの…
デュッセルドルフのプロデューサー Stefan Schwander による名義のひとつで、ミニマル・テクノにアフリカン・リズムを組み合わせるようなことを試みているプロジェクト。オフィシャルサイトには “american minimalists vs. african drumming vs. european sequ…
“Blade Runner 2049” Director : Denis Villeneuve US, 2017 おもしろかったと思う。 物語としてわりとまとまっていた。 ヴィジュアルイメージの点では前作ほどの衝撃や新味はなかったかもしれない。とはいえ、冒頭での太陽光発電施設の威容や、地表を暗く埋…
“Miss Sloane” Director : John Madden US, 2016 主人公ひとりの強力な個性で成り立つ映画というものがある。 激しく存在感を放ち、奇特で驚異的なキャラクターに釘付けになるような。 『女神の見えざる手』はまさしくそうした映画。 原題は “Miss Sloane”。…
現代アートの哲学 (哲学教科書シリーズ)作者: 西村清和出版社/メーカー: 産業図書発売日: 1995/10/01メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 97回この商品を含むブログ (86件) を見る 一冊を通してひとつの論考を展開しているというより、現代美学の主要なテー…
Four Tet のキャリアも既に20年近くに及ぼうとしているけれど、10年ほど前の “Ringer” と “There Is Love in You” によってスタイル上の大きな転機が刻まれたことには共通認識が持たれていると思う。かつての写実的で情感のあるサウンドから、はっきりとフロ…
あまり期待せずに見始めたらけっこうおもしろかった。でも最後まで見て全体的に振り返ってみると、ものすごく高い完成度でまとまることができたとまでは言えないかも。一方で、いろいろポテンシャルを秘めた作品だったと思う。たぶんもっと深く語れることは…
南ロンドンの新興レーベル Her Records からのリリース。 抒情性を払底したリズム志向のサウンド。乾いた感触はグライムに通じるし、三連符ビートという点ではフットワークも想起させる。 ただしNKCのこのEPには、定型に甘んじることのないリズムの追求とい…
アニメーターの社会学―職業規範と労働問題作者: 松永伸太朗出版社/メーカー: 三重大学出版会発売日: 2017/08/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 最近いろいろと注目されることも多い「アニメーターの労働問題」を社会学の方法論で分析し…
シーンというものが多様化・細分化し、全体を包括的に言い表すことが難しくなってきていると常々感じる。 それでもあえて現在の音楽シーンを特徴付けるキーワードを抽出しようとした場合、まず思い浮かんでくるのは「混成」「移住」「越境」といった言葉。こうした…
ベルリンのハウス・レーベル SUED から昨年出た2枚組12"を、デジタル音源で Apollo から再リリースしたもの。 SUED の特徴は、アナログ音源を専門としているということの他に、アーティストや音源が匿名的という点にある。アルバムもトラックも固有名が付けら…
「あんたのめちゃくちゃな絵 服にできるの―― 世界で私だけよ きっと――」 読切ネームの作画者を公募する企画で漫画化された作品。ジャンプSQ. CROWN 2017 SUMMER 収載。 原作者かっぴーは cakes で長編『左ききのエレン』を連載中。話や台詞は傑出してるのに…
音楽のつくり方を大別したときに、音を組み立ててつくっていく方法と、既にある音を加工してつくっていく方法という二種類があるとして、ダブは後者の側に属している。 サンプリングやブレイクビーツもやはり新規の音より既存の音へ依存しているけれど、流用…
新装版 イメージの修辞学: ことばと形象の交叉作者: 西村清和出版社/メーカー: 三元社発売日: 2017/05/31メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 主に「イメージ」を対象とした物語論の本。 ことばとイメージにどのような関係があるかについて原理的な…
2013年のアニメミライ版・2015年の劇場版に続いて制作されたテレビシリーズ全25話。 とても前向きで心あたたまる内容、全年齢的な質の高さがある。 通して見たとき多少とっちらかったところもなくはなかったけど、全体としては、放送前に期待していた通りの…
メロディをほとんど伴わず純粋にリズム要素だけで構成されるサウンド。 ビートは民族音楽の打楽器を彷彿としつつも、その感触と精確性はきわめてエレクトロニック。低音部はダビーに増幅されて反響し、高音部は軽やかに跳ね回り、さまざまなビートが空間を満…
“Forushande” (The Salesman) Director : Asghar Farhadi Iran, 2016 イランの映画。 急激な都市化が進むテヘランでの現代的なセッティングとキャラクター。 主人公は、文学教師をしつつ劇団員として舞台に出演するエマッドと、やはり同じ劇団の役者であるラ…
“BLAME!” 監督 : 瀬下寛之 原作・総監修:弐瓶勉 2017 楽しんで観賞した。 作品として大絶賛できるほどとは思わないけれど、技術面ではポテンシャルを感じたので、今後のアニメ界には期待が持てる。予算と能力が適切に投入されればすごいものが生まれてくるだ…
都市というものがそのまま音楽化されたような作品。 インダストリアルなノイズ、不協和音。脈絡ないヴォイス。多様なサンプリング音。街なかにありそうな音を要素としたミュージック・コンクレート的な楽曲で、都市が持つ雑然性や混成状態といった様相が体現…
“Arrival” Director : Denis Villeneuve US, 2016 テッド・チャンの短編『あなたの人生の物語』の映画化作品。 良い映画になっていると思う。 原作は短いページ数に説明と思弁性をコンパクトに集約した小説。映画版はそうした要素を少し切り詰め、代わりに宇…
“Waking Gods” 2017 Sylvain Neuvel ISBN:0718181700 Waking Gods: Themis Files Book 2作者: Sylvain Neuvel出版社/メーカー: Michael Joseph発売日: 2017/04/06メディア: ハードカバーこの商品を含むブログを見る 『巨神計画』の続編、3部作の第2作目。邦…
“Sleeping Giants” 2016 Sylvain Neuvel ISBN:448876701X, ISBN:4488767028 巨神計画〈上〉 (創元SF文庫)作者: シルヴァン・ヌーヴェル,加藤直之,渡邊利道,佐田千織出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2017/05/11メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) …
人形の国(1) (シリウスKC)作者: 弐瓶勉出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/05/09メディア: コミックこの商品を含むブログ (3件) を見る 3月から連載を始めている弐瓶勉の新作第1巻。 巨大な人工天体が舞台。不壊の殻層を絶対的境界として、高度技術を擁し…