南ロンドンの新興レーベル Her Records からのリリース。
抒情性を払底したリズム志向のサウンド。乾いた感触はグライムに通じるし、三連符ビートという点ではフットワークも想起させる。
ただしNKCのこのEPには、定型に甘んじることのないリズムの追求という面で差異がある。特に M-1 “Tincture” と M-2 “Puncture” は裏表で対になったようなトラックで、同じモチーフを異なるビート・アプローチでなぞり直している実験。
NKCは自分のスタイルを「ハード・ドラム」と呼んでいる。なかば冗談めかして言っているようではあっても、この音を形容する言葉として端的に要を得た表現だと思う。2016年の EP “Hague Basement” や Her Records のコンピレーションに収録された音源などにはこのコンセプトをもっと先鋭的に示しているトラックもあるが、いずれも方向性は共通していて、既にスタイルが確立されつつある。
各曲に通底しているのは、メロディラインへの無関心。硬質で多彩なパーカッションが空間を立体的に占位して進行する楽曲は、あたかも無人のフロアで反響するかのようにも聞こえる。とはいえ冷淡で非人間的に聞こえるかというとそうではなく、むしろ秘めた熱気を感じさせるのは、トライバルなビートが人間の原初的で根源的な活動として想起されるからだろう。内向性とは程遠い、運動や集団性の連想。
NKC
Information | |
Origin | South West Midlands, UK |
Current Location | London, UK |
Links | |
Official | |
SoundCloud | https://soundcloud.com/nkc |
https://twitter.com/nkcproductions | |
Label | Her Records http://store.herrecords.com/album/tincture |