2017-01-01から1年間の記事一覧
リズム/ビートの多彩なエチュードといった趣。 過剰に変容させられず原型的なまま提示されるパーカッシヴなサウンド。シンセやヴォーカル・サンプルも使われているけれどそれらは従属的。主体はさまざまな打音で、純粋にリズム・パターンを味わう音楽に特化し…
社会にとって趣味とは何か:文化社会学の方法規準 (河出ブックス 103)作者: 北田暁大,解体研出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2017/03/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (9件) を見る 概要 90年代以降に進展したサブカルチャー論…
ジャンルの好みがどうあれ現在の同時代的音楽を語るに際し避けて通れないものを挙げるなら、そこに必ず入ってくるはずの一人。 では何が Kendrick Lamar をそうした中に含めるのかというと、やはり詞が語る内容、ライフヒストリーが持つ引力が大きな要因と言…
このところ読んだ漫画のなかで最も痺れた。 でもたぶん激しく人を選びそうな漫画。 まず断言できる事実として、絵が下手。というか商業誌レベルには達していない。ネームのまま、と言ってもいいぐらい*1。 けれども内容は圧倒的。物語、台詞、キャラクター。…
XL Recordings からのリリースとなる 3rd アルバム。 大きく話題になりそうなポイントは、本人のヴォーカルが全面的に用いられているところ。 これまで Björk や FKA twigs、Kanye West などの楽曲制作を手がけていることもあり、Arca のサウンドとヴォーカ…
時間と自由意志:自由は存在するか (単行本)作者: 青山拓央出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2016/11/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 「自由意志」の有無をめぐる古典的な対立を基にした論考。どちらかというと、自由意志を安易に否定…
シアトルのプロデューサー。アナログ・シンセの他、フィールド・レコーディングや生楽器のサンプリングなどが用いられている。軽やかながらはっきりした重みで拍動する低音部が、微少に破砕し明滅する断片的な高音部と共にビートを形成する。ディテールが豊富…
シャッフル航法 (NOVAコレクション)作者: 円城塔出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2015/08/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る 短編集。10作品収載。 『内在天文学』『イグノラムス・イグノラビムス』『シャッフル航法』『Φ』『つじつ…
Modern Love からの新譜で、地元 Manchester のプロデューサー Alex Lewis による 1st アルバム。 フロア・ミュージックへの拘りは全体に共通するものの、曲ごとに方向性は異なっていて、ハウス/トランス/2-ステップ/ドリルンベース…といったさまざまなサウン…
ベルリンを拠点とする Kangding Ray の新譜。 これまでのアルバムはすべて Raster-Noton からだったが、今回はベルリンの Stroboscopic Artefacts からのリリースとなった。初期の音響/ノイズ系の作品と比べると “OR” 以後のテクノ寄りでビート志向の作品は…
航空宇宙軍史・完全版 四: エリヌス―戒厳令―/仮装巡洋艦バシリスク (ハヤカワ文庫JA)作者: 谷甲州出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/02/09メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見る 『エリヌス―戒厳令―』『仮装巡洋艦バシリスク』の二冊を加筆…
テクスト分析入門?小説を分析的に読むための実践ガイド作者: 松本和也出版社/メーカー: ひつじ書房発売日: 2016/10/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る ナラトロジーを単に用語体系の解説にとどまらず具体的な小説読解への適用で実践して…
デトロイトのプロデューサーによる1stフルアルバム。 簡素なサウンド構成でビート志向。 Anthoney Hart の Basic Rhythm に通じるものもあるけれど、Jay Daniel のこのアルバムでは全般的に生ドラムが用いられているところが大きな特徴。背景でかすかに響く…
“虐殺器官 Genocidal Organ” 監督 : 村瀬修功 原作 : 伊藤計劃 2017 映像良かったと思う。キャラデも作画もわりと気に入っている。演出でのディテールが豊潤。展開としては途中に冗長なところもけっこうあったものの(「月光」とか観戦シーンとか)、軍事作…
ブリストルを拠点に活動する Ross Tones によるプロジェクトで、2年半振りとなる 2nd アルバム。 異なるフォームを切り替えながら同じトーンの世界を描いていくようなスタイルは 1st と同様だけど、前作で大きくフィーチャーされていたヴォーカルはなくなっ…
エスノメソドロジー―社会学的思考の解体作者: ハロルド・ガーフィンケル,山田富秋出版社/メーカー: せりか書房発売日: 1987/04メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 78回この商品を含むブログ (38件) を見る エスノメソドロジー初期の論文集。ガーフィンケル…
『キヌ六』『ベントラーベントラー』の野村亮馬が自費出版で出した最新作。おもしろかった。ファンタジー要素のある産業革命期のような世界。ふたつの勢力が戦争している状況下で、密偵として敵の拠点に潜入する少年の話。冷え切った冬の都市で静かに展開す…
2012年の “Elemental” リリース後、実験的にクラブ・ミュージックへアプローチした12"EPの “Testpressing” シリーズを挟んで、4年振りとなるフルアルバム。アンビエント/ノイズ志向だった “Elemental” よりも、ビートを追求した “Testpressing” シリーズの延…
“Eye in the Sky” Director : Gavin Hood UK, 2015 軍事用ドローン(UAV)を題材にした映画も、めずらしいものではなくなり始めている。ゲームプレイ的な遠隔操縦による標的攻撃の理不尽、操縦者の心理的葛藤やPTSDといった問題は既に充分描かれているし、映…