::: BUT IT'S A TRICK, SEE? YOU ONLY THINK IT'S GOT YOU. LOOK, NOW I FIT HERE AND YOU AREN'T CARRYING THE LOOP.

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.Electronica

Jlin “Akoma” (2024)

パーカッションによる緻密な構成を追及した、ミニマル・ビート・ミュージックの極点。 シカゴのフットワークを独自に昇華させる Jlin が2015年の “Dark Energy”、2017年の “Black Origami” に次いでリリースした 3rdアルバム。 このアルバムではコラボレーシ…

Lost Souls Of Saturn “Reality” (2024)

デトロイトの Seth Troxler とニューヨークの Phil Moffa によるユニットの5年ぶりの2ndアルバム。全8曲、45分。 強弱併せ持つビートでうねるグルーヴにコズミックなシンセ・サウンド、そこにトランペット、ギター、シタールといった生楽器、そしてヴォーカ…

Rian Treanor & Ocen Jame “Saccades” (2023)

UKのエレクトロニック・ミュージックのプロデューサー Rian Treanor がナイジェリアのレーベル Nyege Nyege に招待されて現地滞在したことを契機に、伝統楽器奏者 Ocen James と共につくったアルバム。マスタリングは Rashad Becker がおこなっている。 欧米…

Kangding Ray “ULTRACHROMA” (2022)

これまでのダークでクールなインダストリアル・テクノからだいぶ変わった。特に、単調でミニマルだったビートがもっと重層的で構築的なものとなったことが決定的。アクアティックでコズミックなシンセサウンドも際だっていて、それらを伴い繊細で複雑なビー…

Huerco S. “Plonk” (2022)

“Plonk” (2022) 思うに擬音語というのは外国語のなかで特にニュアンスを掴みづらい。‘vroom’ とか ‘meow’ といったものであれば、目にしたこともあって日本語との対応や感覚的な理解もできるけれど、知らない語だとまったく想像もつかなかったりする。 Huer…

Moritz Von Oswald Trio “Dissent” (2021)

Basic Channel のひとりとしてダブ・テクノを生み出した Moritz von Oswald のグループ。 もともとは Max Loderbauer と Sasu Ripatti(Vladislav Delay)で構成されていたが、2015年の “Sounding Lines” では Sasu Ripatti と替わって Tony Allen、そしてこ…

Andy Stott “Never the Right Time” (2021)

静謐で甘美なヴォーカルとシンセによるテクノ。ノイジーなパルスをまとう重いビートに牽引されつつ、端麗で広がりのあるサウンドスケープへ。 8作品目のアルバムとなる “Never the Right Time” は、前作 “It Should Be Us” での試みからは離れ、“Luxury Prob…

Emeka Ogboh “Beyond The Yellow Haze” (2021)

ベルリンを拠点とするナイジェリア出身のアーティスト。現代アートの分野で主に活動してきた人で、出身地であるナイジェリアのラゴスで採取した都市音響を用いたインスタレーションなどを制作してきた。ドクメンタやヴェネツィア・ビエンナーレへ出展したこと…

Speaker Music “Black Nationalist Sonic Weaponry” (2020)

現在、BLM運動に呼応する音楽がさまざまに生まれる中、このアルバムは鮮烈なサウンド表現と徹底したコンセプトとで傑出している。 ここでおこなわれていることは、簡単に言えばブラック・ミュージックとしてのテクノ再構築。その意義は、Speaker Music が参加…

Klein “Frozen” (2020)

非常に先鋭的。 主にギターとピアノでつくられているけれど、はっきりしたメロディを紡がずに断片化、ノイズやドローンとなって溶け合い、指針となるビートもないまま彷徨いながら情景を連ねていく──というような作品。 過去の音源、2019年の “Lifetime” や…

Beatrice Dillon “Workaround” (2020)

ロンドンを拠点とするミュージシャンの 1st ソロ・アルバム。PAN からのリリースで、マスタリングは Rashad Becker。 ドライでミニマル。 音数が少なく、散りばめられたスタッカートでむしろ空隙を聴かせるタイプの楽曲。軽やかにスウィングするビートが微少…

LOFT “and departt from mono games” (2019)

LOFT の音源タイトルには、吃音的な言語感覚がまとわりついている。 “iinnnn mm m my y yy ww wwaa y yyy” とか “SpOoKiii BleNzz 4 sPoOkii fReNzz” とか。そこまで全体が切り裂かれてなくても、“sSLABicks”、“shouldn wouldn couldn leavv” など、一部に文…

Daniel Brandt “Channels” (2018)

2018年のアルバム。Erased Tapes からのリリース。見落としてたけど最近聴いてみたらけっこう良かったので記録しておく。 ざっくり言えば、生楽器とテクノを融合したようなタイプの作風。ギター/トロンボーン/ピアノなどによるポスト・クラシカルな感触を持ち…

NKISI “7 Directions” (2019)

アフリカ系アーティストのコレクティヴ “NON Worldwide” の創始者のひとり NKISI の 1st フルアルバム。 これまでの音源としては、NON のコンピレーションの他、Warp 内サブレーベル Arcola からリリースした EP “The Dark Orchestra” などがある。このアル…

Barbara Morgenstern “Unschuld und Verwüstung” (2018)

ドイツで活動するエレクトロニカ/エレクトロ・ポップのミュージシャン。 ベルリンの Monika Enterprise でその創立時からアルバムをリリースし続けてきたけれど、10枚目となるこの “Unschuld und Verwüstung(無垢と荒涼)” は、同じベルリンの Staatsakt か…

Colin Self “Siblings” (2018)

ニューヨークとベルリンを拠点に活動するコンポーザー/コレオグラファーによる 2nd アルバム。 6幕構成のオペラ “Elation” を締め括る部分としてつくられたもので、『サイボーグ・フェミニズム』の著者のひとりでもあるダナ・ハラウェイに影響されたアルバムと…

Julia Holter “Aviary” (2018)

LAのコンポーザーによる 5th アルバム。 シンセの他に、弦楽器やトランペット、バグパイプなど生楽器をさまざまに用いたオーケストラルなサウンド。全編に渡り彼女自身のヴォーカルを最大限に活かした楽曲づくりがなされている。 各曲は少しずつ印象が異なる…

 Galcher Lustwerk “200% Galcher” (2018)

ディープでジャジーなヒップ・ハウス。 場の雰囲気をこの上なく醸出しているタイプのアルバム。再現されているのは、薄暗いクラブやライブハウスに込められた気怠げでスモーキーな空気感。 サックスやキーボード、シンセやドラムマシーン。それらのどれかひと…

 Alva Noto “Unieqav” (2018)

2008年の “Unitxt”、2011年の “Univrs” と続いた “UNI-” シリーズの幕を引くアルバム。 このシリーズは、ビートが強いフロア向けのサウンドを追求したもの。Alva Noto / Carsten Nicolai の音源のなかではもっともアプローチしやすい。聴きやすいサウンドだ…

 Jon Hopkins “Singularity” (2018)

ビートに伴うノイズの力というものを示したのが、前のアルバム “Immunity” の大きな功績だった。5年ぶりにリリースされたこのアルバム “Singularity” も同じ延長上にある。 パルス、破砕音、グリッチといったノイズ要素は、それ自体が主役の位置にあるわけで…

 Simian Mobile Disco “Murmurations” (2018)

James Ford と Jas Shaw によるユニットの5th アルバム。テック・ハウス/エレクトロ・ハウス。 このアルバムは、ロンドンのヴォーカル・コレクティヴ The Deep Throat Choir の女声コーラスをフィーチャーしているのが特徴。ヴォーカルとシンセが崇高を醸し出す…

 DJ Nigga Fox “Crânio” (2018)

アンゴラ出身。内戦に伴いポルトガルに移住し、現在はリスボンに住む。リスボンで活気付くアフリカ系ダンス・ミュージックの旗手のひとりと目され、Warp と契約し EP リリースに至った。もともとリスボンのレーベル “Príncipe” に所属。このレーベルはクドゥ…

 Claro Intelecto “Exhilarator” (2017)

マンチェスターのプロデューサー。主にダブ・テクノを追求し、Modern Love の勃興に寄与したひとりに数えられる。 このアルバムはオランダの Delsin からのリリースで、わりと幅の広い趣向の13曲から成っている。清涼、重厚、暗鬱、硬質、情感、爽快 etc。リ…

 Emptyset “Skin” (2017)

〈ミニマリズム〉というものを何らかの秩序を追求する試みなのだと捉えるなら、字義からして、秩序の対極にある〈ノイズ〉とは相容れないように思える。けれども実際は、ノイズとミニマル・ミュージックの相性は良い。ミニマル・ミュージックを成り立たせるの…

 Harmonious Thelonious “Apakapa” (2017)

デュッセルドルフのプロデューサー Stefan Schwander による名義のひとつで、ミニマル・テクノにアフリカン・リズムを組み合わせるようなことを試みているプロジェクト。オフィシャルサイトには “american minimalists vs. african drumming vs. european sequ…

 Four Tet “New Energy” (2017)

Four Tet のキャリアも既に20年近くに及ぼうとしているけれど、10年ほど前の “Ringer” と “There Is Love in You” によってスタイル上の大きな転機が刻まれたことには共通認識が持たれていると思う。かつての写実的で情感のあるサウンドから、はっきりとフロ…

 Nídia “Nídia É Má, Nídia É Fudida” (2017)

シーンというものが多様化・細分化し、全体を包括的に言い表すことが難しくなってきていると常々感じる。 それでもあえて現在の音楽シーンを特徴付けるキーワードを抽出しようとした場合、まず思い浮かんでくるのは「混成」「移住」「越境」といった言葉。こうした…

 SW. “The Album” (2016/2017)

ベルリンのハウス・レーベル SUED から昨年出た2枚組12"を、デジタル音源で Apollo から再リリースしたもの。 SUED の特徴は、アナログ音源を専門としているということの他に、アーティストや音源が匿名的という点にある。アルバムもトラックも固有名が付けら…

 Porter Ricks “Anguilla Electrica” (2017)

音楽のつくり方を大別したときに、音を組み立ててつくっていく方法と、既にある音を加工してつくっていく方法という二種類があるとして、ダブは後者の側に属している。 サンプリングやブレイクビーツもやはり新規の音より既存の音へ依存しているけれど、流用…

 Jlin “Black Origami” (2017)

メロディをほとんど伴わず純粋にリズム要素だけで構成されるサウンド。 ビートは民族音楽の打楽器を彷彿としつつも、その感触と精確性はきわめてエレクトロニック。低音部はダビーに増幅されて反響し、高音部は軽やかに跳ね回り、さまざまなビートが空間を満…






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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもうループを背負ってない”
―Angela Mitchell