ディープでジャジーなヒップ・ハウス。
場の雰囲気をこの上なく醸出しているタイプのアルバム。再現されているのは、薄暗いクラブやライブハウスに込められた気怠げでスモーキーな空気感。
サックスやキーボード、シンセやドラムマシーン。それらのどれかひとつが突出するということなく規律的に全体へまとまっていて、ひとつの室内感覚とでもいうようなものが生み出されている。空間、ということばだけに尽くされず、その場の微かな反響や人の息吹も含めた体験の総体として。
さらにここへ Lustwerk の抑制的なラップが加わっている。メッセージを主張するというより、その場から感性が自動記述している語りのようでもある。(“like, whatever phrase or term or combination of words ― come up, letting it come up and deciding if I want to do something with it or not.” FADER - Galcher Lustwerk interview)
あたかも他のサウンドと同列に扱われた要素のように聞くこともできるけれど、けれどもやはりこのラップは、言葉によって場の空気の描出をおこなっているという特別な要素として区別したい。それはこのアルバムがラップ入りの各曲に対してインストバージョンも収録していることに表れていると思う。ラップのありなしではっきり違いがあることが示唆されているのだ。
かぎりなく音と溶け合ってはいるけれど、つぶやかれる言葉、語り手の気配といったもののごくごくわずかな存在感に意味があって、この空間に対して生命を与える最後の仕上げのように働いている。
2013年、Blowing Up the Workshop のポッドキャストとしてリリースしたミックステープ “100% Galcher” によりデビューし注目された。
“200% Galcher” は 2017年にリリースした “Dark Bliss” に続く正規アルバムの二作品目で、自身のレーベル Lustwerk Music から発表。
Galcher Lustwerk
Information | |
Origin | Cleveland, Ohio, US |
Current Location | New York, US |
Years active | 2013 - |
Links | |
Official | http://galcherlustwerk.tumblr.com/ |
SoundCloud | https://soundcloud.com/galcher-lustwerk |
YouTube | http://youtube.com/galcherlustwerk |
Label | Lustwerk Music http://lustwerkmusic.com/ |