::: BUT IT'S A TRICK, SEE? YOU ONLY THINK IT'S GOT YOU. LOOK, NOW I FIT HERE AND YOU AREN'T CARRYING THE LOOP.

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.Experimental

700 Bliss “Nothing to Declare” (2022)

Moor Mother (Camae Ayewa) と DJ Haram (Zubeyda Muzeyyen) によるユニットで、2018年のデビューEP “Spa 700” に続くアルバム。 全16曲、2〜3分程度の短い曲がシームレスに続く。 トライバルなパーカッションと重いベース音。異なるエフェクト・異なる音場…

Emeka Ogboh “Beyond The Yellow Haze” (2021)

ベルリンを拠点とするナイジェリア出身のアーティスト。現代アートの分野で主に活動してきた人で、出身地であるナイジェリアのラゴスで採取した都市音響を用いたインスタレーションなどを制作してきた。ドクメンタやヴェネツィア・ビエンナーレへ出展したこと…

Speaker Music “Black Nationalist Sonic Weaponry” (2020)

現在、BLM運動に呼応する音楽がさまざまに生まれる中、このアルバムは鮮烈なサウンド表現と徹底したコンセプトとで傑出している。 ここでおこなわれていることは、簡単に言えばブラック・ミュージックとしてのテクノ再構築。その意義は、Speaker Music が参加…

Klein “Frozen” (2020)

非常に先鋭的。 主にギターとピアノでつくられているけれど、はっきりしたメロディを紡がずに断片化、ノイズやドローンとなって溶け合い、指針となるビートもないまま彷徨いながら情景を連ねていく──というような作品。 過去の音源、2019年の “Lifetime” や…

Beatrice Dillon “Workaround” (2020)

ロンドンを拠点とするミュージシャンの 1st ソロ・アルバム。PAN からのリリースで、マスタリングは Rashad Becker。 ドライでミニマル。 音数が少なく、散りばめられたスタッカートでむしろ空隙を聴かせるタイプの楽曲。軽やかにスウィングするビートが微少…

Moor Mother “Analog Fluids Of Sonic Black Holes” (2019)

フィラデルフィアのラッパー。Rasheedah Phillips と組むコレクティヴ “Black Quantum Futurism” としての活動もおこなっている。 はっきりしたマニフェスト*1を掲げるようなコレクティヴを主宰していることでもわかるように、その音楽スタンスは非常にコン…

The Caretaker “Everywhere At The End Of Time” (2016-2019)

概要 アンビエント・ミュージックが行き着いたひとつの極北と言っていいと思う。 The Caretaker はマンチェスター出身のジェームス・カービーによるプロジェクトで、「記憶」をテーマとしたアンビエント/ノイズの作品をつくり続けている。 “Everywhere at the…

Vanishing Twin “The Age of Immunology” (2019)

ロンドンを拠点とするグループ。出身国も言語も異なる5人から成る。 それぞれ熟練したミュージシャンで、複数のユニットに所属していたりマルチ・アーティストだったりする。メンバー各自の母語で歌われた曲が含まれている。演奏は精妙。サイケデリックと言う…

LOFT “and departt from mono games” (2019)

LOFT の音源タイトルには、吃音的な言語感覚がまとわりついている。 “iinnnn mm m my y yy ww wwaa y yyy” とか “SpOoKiii BleNzz 4 sPoOkii fReNzz” とか。そこまで全体が切り裂かれてなくても、“sSLABicks”、“shouldn wouldn couldn leavv” など、一部に文…

Colin Self “Siblings” (2018)

ニューヨークとベルリンを拠点に活動するコンポーザー/コレオグラファーによる 2nd アルバム。 6幕構成のオペラ “Elation” を締め括る部分としてつくられたもので、『サイボーグ・フェミニズム』の著者のひとりでもあるダナ・ハラウェイに影響されたアルバムと…

Julia Holter “Aviary” (2018)

LAのコンポーザーによる 5th アルバム。 シンセの他に、弦楽器やトランペット、バグパイプなど生楽器をさまざまに用いたオーケストラルなサウンド。全編に渡り彼女自身のヴォーカルを最大限に活かした楽曲づくりがなされている。 各曲は少しずつ印象が異なる…

 Emptyset “Skin” (2017)

〈ミニマリズム〉というものを何らかの秩序を追求する試みなのだと捉えるなら、字義からして、秩序の対極にある〈ノイズ〉とは相容れないように思える。けれども実際は、ノイズとミニマル・ミュージックの相性は良い。ミニマル・ミュージックを成り立たせるの…

 Chino Amobi “Paradiso” (2017)

都市というものがそのまま音楽化されたような作品。 インダストリアルなノイズ、不協和音。脈絡ないヴォイス。多様なサンプリング音。街なかにありそうな音を要素としたミュージック・コンクレート的な楽曲で、都市が持つ雑然性や混成状態といった様相が体現…

 Oren Ambarchi “Hubris” (2016)

ミニマル。Pt. 1からPt. 3まで全3曲のインストゥルメンタル。2分程度のPt. 2を間奏のように据え、約22分のPt. 1および16分強のPt. 3により構成。Jim O’Rourke、Ricardo Villalobos、Arto Lindsay など多数のミュージシャンとのコラボレーションで制作されて…

 Tyondai Braxton “Oranged Out E.P” (2016)

5曲入りのEP。10分を超えるような長い曲はなく、ダイナミズムは曲の展開というよりも音/ビートの実験的な構成に秘められている。 決して流麗には進まず、逆鉤のごとく引っかかるように絡みつくリズム。それでいてそこには身を委ねられる前進的な向性がある。…

 Moe and ghosts × 空間現代 “RAP PHENOMENON” (2016)

先鋭的ヒップホップ・ユニットとエクスペリメンタルな3ピース・バンドによるコラボレーション・アルバム。 Moe and ghosts は 1st アルバム “幽霊たち” の異彩で話題となったユニット。日本語なおかつ女性によるラップというのは、ヒップホップの中で二重に周縁…

 Alexandre Francisco Diaphra “Diaphra's Blackbook Of The Beats” (2015)

リスボンで活動するギニアビサウ出身のミュージシャンによる1stアルバム。ゲストミュージシャンとのライヴ演奏にポルトガル語のラップ/ポエトリーを乗せてつくった楽曲。 ラップというよりほとんどリーディングで、抑制的な語りが乾いたトラックの上を流れて…

 Vatican Shadow “Death Is Unity With God” (2014/2015)

Vatican Shadow は、Prurient 名義を筆頭とする Dominick Fernow の多様な活動形態のひとつ。Prurient 同様にダークでインダストリアルだけど、こちらはスクリーミング・ヴォーカルを伴わないインストで、もっと乾いた曲調。 この “Death Is Unity With God” …

 Grischa Lichtenberger “LA DEMEURE; il y a péril en la demeure” (2015)

raster-noton からのリリース。グリッチやパルスによって形成されるタイプのエレクトロニカ。 ドローン/アンビエントな持続音も登場しないわけではないけれど、全体としては硬質で無機的な単音の連鎖が支配的要素を占める。言うなれば破砕されたビート、ある…

 にせんねんもんだい “#N/A” (2015)

ギター/ドラム/ベースの3人編成、インストのみで徹底的にミニマル。ストイックで人力テクノな系統。 goat がおこなっている試みにきわめて近い位置にいる。 もともとエレクトロニック・ミュージックとの親和性は高かったと思うけど、このアルバムでは Adrian …

 Laurel Halo “In Situ” (2015)

音響〜エクスペリメンタル系のテクノ/エレクトロニカ。 低音域を効果的に使ったサウンドで、ダブテクノ/ベース・ミュージックと言ってもいいと思う。 細部の精妙なバランスがとても構築的。繊細だけど多様な音の切片が、それぞれ必要最小限の占位によって空間…

 Battles “LA DI DA DI” (2015)

3rd アルバム。 1st・2nd にあったようなヴォーカル曲はなくて、インスト曲だけの構成。 とはいえこれまでの曲のヴォーカルも、歌を聴かせるというより楽器のひとつとして扱われているような感じだったし、1st・2nd ともに歌詞のないインスト曲も入ってたので…

 goat “Rhythm & Sound” (2015)

ギター/サックス/ベース/ドラムの4人によるグループなんだけど、この編成からはちょっと予想つかないサウンドを繰り出してくる。サックスなんて、クレジットはされてるけど曲だけ聴いてもどの音が該当するのかぜんぜんわからない。 極力楽器の持つ音階を無視…

 Mark Guiliana “Beat Music: The Los Angeles Improvisations” (2014)

ジャズ・ドラマーによるアルバム。アコースティック/エレクトロニック・ドラムの生演奏によってテクノやドラムンベースの機械的なビートを再現したような音楽。 サポート・パートとして Tim Lefebvre(ベース)・Jeff Babko(キーボード)・Troy Zeigler(エレク…

 Aphex Twin “Computer Controlled Acoustic Instruments pt2” (2015)

“SYRO” からたった4ヶ月のブランクでリリースされたアルバム。 スタイルはまったく違う。 どのような内容なのかは、アルバムタイトルがだいたい表象してる。(“pt2” という語にはたぶん意味がなくて、“pt1” は存在しない。) 音としては、ピアノとドラムがメ…

 Vladislav Delay “Visa” (2014)

アンビエント/ドローン/ダブ。 メロディとかビートといったものはほとんどなくて。ではかわりに何があるのかというと、それはたぶん「音像」といったような語で表されるようなもの。音によって形成される情景。 そしてそこには、自然音とは異なる電子音であ…

 Swans “To Be Kind” (2014)

今年前半、5月ぐらいに発売されたアルバム。 絶品。 前作 “The Seer” も高い評判があったらしく、併せて聴いてみたらこれも同じように良かった。……前作はどっかで試聴したことあったはずなんだけど、なんかそのときは結局スルーしてて。ちゃんと聴いてみたら…

 Owen Pallett “In Conflict” (2014)

4thアルバム。ヴォーカルが最大限に作用してる楽曲。ヴォーカルラインだけでメロディをリードしてる。声質には若干クセがないこともないけど、歌唱表現力は高いし、独特。バックはストリングスを基盤としながら時折エレクトロニカの味付けを加え、雰囲気はと…

 Julia Holter “Loud City Song” (2013)

LAを拠点とするマルチ・インストゥルメンタリストの3rdアルバム。両親ともに音楽系で、本人もカリフォルニア芸大で作曲を学んだような人。 Kate Bush に例えられていることが多いみたい。声質はぜんぜん違うけど、曲には近い雰囲気があるかも。オーバーダブを…

 Anna Meredith “Jet Black Raider EP” (2013)

2013年8月に発売された 2nd EP。1st もそうだけど、CD版はなくて MP3 と 12" Vinyl のみのリリース。MP3は moshi moshi records でダウンロード購入可能(http://shop.moshimoshimusic.com/downloaddetails?rid=MMR_RE_91)。Amazon.co.jp や iTunes store …






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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもうループを背負ってない”
―Angela Mitchell