Moor Mother (Camae Ayewa) と DJ Haram (Zubeyda Muzeyyen) によるユニットで、2018年のデビューEP “Spa 700” に続くアルバム。
全16曲、2〜3分程度の短い曲がシームレスに続く。
トライバルなパーカッションと重いベース音。異なるエフェクト・異なる音場で流れるスポークン・ワード。ステージ中央にマイクがあってヴォーカルなりラップなりが発せられるという図式ではない。音と同様にヴォイスが立体的に配置されていて、空間が意識させられる。
アルバム後半ではノイズ要素が増し、不穏な雰囲気が強まる。
メッセージはポリティカルでコンシャス。
Katherine Dunham を挙げてブラックダンスの系譜を謡う “Anthology”、アメリカ議会襲撃をテーマとした “Capitol”(“I'm the fuckin' agitator” “America, a call for arms against itself”)。
より攻撃的なのは “Crown” で、“We must fight injustice” “Open your eyes, see you're the gift” と語った後、全体を締めるような “I have nothing to claim. But everything to break” というフレーズがある。言葉のパフォーマンスをおこないながら、あたかも言葉を否定するかのような……。
タイトルも同様で、“何も宣言することはない”──というそれ自体が宣言にもなっているというアイロニー。
700 Bliss
Information | |
Years active : 2018 - | |
Current members | |
Camae Ayewa, AKA Moor Mother | |
Zubeyda Muzeyyen, AKA DJ Haram | |
Links | |
Label : Hyperdub https://hyperdub.net/products/700-bliss-nothing-to-declare |