アンビエント/ドローン/ダブ。
メロディとかビートといったものはほとんどなくて。ではかわりに何があるのかというと、それはたぶん「音像」といったような語で表されるようなもの。音によって形成される情景。
そしてそこには、自然音とは異なる電子音であるがゆえの「構築性」が感じられる。ドローンやシンセサイザーのアンビエンスは音場の広がりを示すことでまず端的に空間を意識させるのだけど、一方でグリッチやパルス・サウンドのような無機的/離散的な要素は、その配置の背後に何か容易に読み解けない抽象構造があるのではという想起を誘発し、そうしたものも含めた総体が情景として脳裏に構成される…… といったような。
平坦にノイズ/ドローンが続くだけというようなタイプのトラックではなく、構築された情景はひとつの曲のなかで次々に移り変わっていく。このような展開の様相には、“ナラティヴ” という形容も施したくなる。約23分ある “Visaton” は殊更に顕著だけど、それ以外の相対的に短い曲でも同様。
このアルバムはもちろん静謐な状況下で聴かなければならないし、能動的な没入を必要とするはず。
ヘッドフォンで聴くことこそが適した音楽なのだろうけど、防音室内での多チャンネルサラウンドによる音響空間で大音量にて再生するのも圧倒的体験になりそう……と想像する。
Vladislav Delay
Information
Birth name | : Sasu Ripatti |
Origin | : Oulu, Finland |
Born | : 1976 |
Links
Official | : http://www.vladislavdelay.com/ |
: https://twitter.com/VladislavDelay | |
Label | : Ripatti http://ripattilabel.com/ |