デトロイトのプロデューサーによる1stフルアルバム。
簡素なサウンド構成でビート志向。
Anthoney Hart の Basic Rhythm に通じるものもあるけれど、Jay Daniel のこのアルバムでは全般的に生ドラムが用いられているところが大きな特徴。背景でかすかに響くシンセ・サウンドと共にマルチトラック・ミキサーで重ね合わされ、荒い感触と細かく揺らぐ空気が表現されている。各要素の空間的な定位とバランスが絶妙。無人の小空間で鳴らされているような近接的親密感がある。
本人によるドラムはブレイクビーツとして再構築されており、アナログな質を備えたまま淡泊な機械的反復として刻まれている。また、スネアやハイハットなど構成単位ごとに一旦分割されたトラックはひとりの奏者がリアルタイムに実現できるか頓着せずに組み直され、身体所作から独立した音の重なりをつくり上げている。結果として、アルバム全体には身体性と機械性の両義的な様相が漂うこととなっている。
ただし根底として同じ手による演奏が原初の部品となっているため、手業の痕跡として微妙に把握できる同一性があって、それが特に全体の統合に寄与している感じがある。
制作過程および音のテクスチャーという両面で、とてもパーソナルなアルバムと言える。
Jay Daniel
Information
Origin | Detroit, US |
Years active | 2013 - |
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