“Waking Gods”
2017
Sylvain Neuvel
ISBN:0718181700
Waking Gods: Themis Files Book 2
- 作者: Sylvain Neuvel
- 出版社/メーカー: Michael Joseph
- 発売日: 2017/04/06
- メディア: ハードカバー
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『巨神計画』の続編、3部作の第2作目。邦題にすると『神々の目覚め』あるいは『巨神覚醒』といったところ。タイトルが示す通り、巨大人型兵器が複数登場し本格的に話が動き出す、というのが2巻の内容。
冒頭から即座に生じる動乱。1巻全体を通して起こることと比べてもはるかに大きな出来事が間髪入れずに襲いかかる連続。前巻はあくまで序章だったことがわかる。
最初のロンドン攻撃だけでもわりと衝撃だったんだけど、あとは惨劇の指数的増大。数字の桁数がどんどん上がることに次第に麻痺していく。不特定多数の大量死が続く一方、愛着も湧くようになってきた具体的なキャラクターたちも次々と退場する。あらたなキャラクターも登場しつつ、翻弄されながらも精一杯抗う人々を描く。
1巻で謎となっていたようなことの多くは2巻でだいたい明らかになる。2巻も再びクリフハンガーで終わるんだけど、1巻と規模がぜんぜん違う。インフレ展開の基本に沿っているようなスケールアップ具合。
ミッションにちょっと強引なところもあって作中でも自覚的なやり取りもあったりする。でも全体としては納得に支障のない許容範囲。
1、2巻ともに、必ずしも完全ではなく性格面での欠陥も備えた人物たちの群像劇。〈家族〉というのがひとつのキーワードに据えられていると思うけど、邦訳1巻解説でも書かれているように、主要人物たち全体が疑似家族的共同体になっているようでもあって、気質に長短を持った人物たち相互の関係における機微の描かれ方に魅力がある。