ラスタファリアニズムの起源となった活動家“Marcus Garvey”の名前を冠するアルバム。
2006年の夏が過ぎようとしているこの折りに、溜まっていたレゲエのCDをじっくり聴いてみようと思い、Burning Spearからまず始めてみた。
というのもiTunesで何気なくセレクトしたM-8“Jordan River”とM-9“Red gold and green”が、突然深く浸み込んできたために。
レゲエというジャンルは、長いこと自分にとって音楽ジャンルにおける最果ての地であって、なかなか馴染めずにいた世界だったのだけど、少しずつ聴いていくうちにだんだん耳が慣れてきたと思う。
まず自分が普段よく聴く音楽とは、リズムのつくりが決定的に違っていること。
そしてジャマイカという島国の固有の事情を強く背負っていること。
レゲエの特徴は、概括するならばこの二点に集約されると思われる。
特に前者、独特のリズム・パターンのもとで指向される、のどかで楽観的な情景。これが今まで馴染めなかった主たる要因だった。これについては、みんながみんなのどかな曲ばかりでもないというのがわかってきたのと、よく耳を澄ますとけっこう細かくできていて、音のつくりのおもしろさに気付いた、というふたつによって乗り越えた。
後者については、レゲエが生まれ育った状況・歴史などの背景情報を知るにつれ、ひとつの文化に対しての総合的な関心が芽生えた。彼らのファッション、たたずまい、あるいはキングストンの街並、空。そういった諸々の空気が持っている魅力が、音楽についての興味を後押しする。
レゲエの思想的基盤であるラスタファリアニズム、というのはものすごくマイナーな宗教/思想で、ボブ・マーリーなどの世界的スターのおかげで知名度は高いけど、実際に宗教として信仰している人数は、ジャマイカでも決して大きい比率を占めているわけではないし、そもそも非常にうさんくさい。しかしレゲエとラスタは切り離すことはできなくて、その思想や歴史を踏まえて曲を聴くと、のどかな曲でも実際はせつないことをうたってたりするのがわかり、感じる重みが違う。
たとえば、なぜ彼らはドレッドなのか。なぜ、赤・黄・緑がシンボルカラーなのか。そうしたことそれぞれに理由があり、網の目が展開するように物語が連なっているという感覚、それらを紐解いていくおもしろさがレゲエにはある。
M-1 “MARCUS GARVEY”
M-3 “INVASION”
M-4 “LIVE GOOD” のんびり。たまにはこういうのも良いと思う。
M-6 “OLD MARCUS GARVEY” コーラスがきれい。
M-8 “JORDAN RIVER”
M-9 “RED, GOLD AND GREEN” このイントロはとてもかっこいい。