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 弐瓶勉 “シドニアの騎士”










おもしろい。
アニメ第1話を見たあとに、現在まで出てるコミック全巻を一気読みした。


特徴

  • SFのベーシックな訴求的語彙・形式を潤沢に含んだ設定とストーリー。
    • 遠未来。
    • 外宇宙生命体に滅ぼされた地球。わずかに生き残った人間たちの恒星間播種船。
    • 人体改変技術が普及。光合成、中性、不老不死。
    • ヘイグス粒子テクノロジー。 (←ヒッグス粒子…?)
    • 敵との戦いを経るたびに次々と新機体が開発される機動兵器。
    • 対話不能な敵。人類の身体や技術を模倣。連結体・巨大集合体。
  • ディテール過多な情景筆致。
    • カニカルなものへのフェティシズム
    • 生理的忌避を引き起こす有機物の偏執的描写。
    • 込み入った配線や配管を伴い、和/洋/新/古の混じり合う密度濃い建物・都市風景。
    • 随所にある見開きの見せ場。迫力があって均整な構図。
  • 緊張と弛緩が交互に来る展開。
    • 誰もが突然退場し得る、予測不能で容赦ない生死状況。紙一重で危機をくぐり抜け続ける連続。
    • 恋愛要素。(ハーレム図式。)
    • コミカルな描写もあり。

(以下、12巻までのネタバレ含む。)

  • 常に緊迫感をもって続いてるわけでなく、折々にキャラクター同士の穏やかな交流が描かれてて、比率としては半々ぐらいの感じがする。
    とくに、融合個体つむぎが次第にいろいろな人と仲良くなっていく姿がほのぼのしている。たぶん作中でもっとも萌えるキャラだし。
    でも、融合個体は精神的不安定による暴走可能性を秘めた存在であることを考えると、仲の良い相手が増えていくことは、そのうちの誰かが突然死んで精神崩壊・暴走に至ってしまう率がそれだけ高いことも意味するわけで。四方から導火線の火がどんどん迫っているようにしか思えなかったりもする。
  • ずっと絶望的状況にはいるんだけど、人類側も急速に技術発展していて、かろうじて対処できている。最初はガウナ1体倒すだけでも苦戦してたことを考えると、小シュガフ船程度なら大量の犠牲を出すことなく倒せるようになったのは、けっこうなインフレだ。
  • 大シュガフ船との決戦がクライマックスになると思うので、もう佳境に入ってるのは確かだと思う。今やってる恒星での作戦が大掛かりな準備で重力子放射線射出装置のエネルギー源として使用?)、たぶんつむぎが重要な局面を迎えて、そのあとに最終決戦…? でも「シドニア百景」というのが文字通り「その100」まで予定されてるのだとしたら、話数としてはまだちょうど半分ぐらいなのかも。
  • どういう完結があり得るだろうか。
    • たとえば……
      ガウナは、一度取り込んだものの情報を内部に保持している。ガウナが集合性を持つ生態であることを考えると、実は彼らはヘイグス通信で情報交換し合っているかもしれない。さらには、全ガウナが同一の情報を持っているかもしれない。その場合、かつて取り込まれた人間たちや技術はすべてガウナたちの間で共有的に保存されている可能性があるかも。星白閑は言うに及ばず。つまりガウナはあたかも仮想情報世界のように機能している。
      ……といった一片が仄めかされ、それを希望と受け取るかそれともあくまでも対抗し続けるかが不確定な状態で終わる、とかかな……自分が描くとしたら。
  • シドニア百景でとくに良かったもの
    • その四   外周連絡橋16号住居側基部周辺
    • その二十五 外部階段(こ・2)
    • その三十二 菓子屋階
  • 以下、各巻で個人的に見どころだったところなどの覚え書き。



第1巻
第1話:谷風長道の選択 / 第2話:谷風長道の初陣 / 第3話:山野栄子の星空 / 第4話:岐神海苔夫の激昂/ 第5話:赤井持国の栄光
シドニアの騎士 1 (アフタヌーンKC)

  • 掌位
  • 取り込んだ人間の情報で胞衣を再構成
  • 「奇居子のそういった行動に意味はない」
  • 重質量砲着弾のシーン



第2巻
第6話:赤井持国のカビザシ / 第7話:星白閑の捜索 / 第8話:谷風長道の帰艦 / 第9話:星白閑の敬礼 / 第10話:第二十八代艦長の決断
シドニアの騎士 2 (アフタヌーンKC)

  • 緊急加速に伴う重力警報発令
  • 衛人の整列布陣
  • 奇居子の地球降下、地球分断の瞬間
  • 星白との帰還限界線超え
  • 256騎掌位の光輪
  • 星白「私ね…… 奇居子は本当は人類の友人になりたがっているんじゃないかって思うことがあるの…… あまりにお互いが異質過ぎて正しい方法が分からないだけなのかもしれないでしょ」
    その後の展開を考えるとこの台詞は示唆的。



第3巻
第11話:星白閑の帰艦 / 第12話:田寛ヌミの週一食 / 第13話:科戸瀬イザナの溜息 / 第14話:不死の船員会 / 第15話:斎藤ヒロキの暴走
シドニアの騎士(3) (アフタヌーンKC)

  • 残留ガス塊の質量増大、衆合船出現 →エナによる擬態で質量を偽っていたということ?
  • シドニア/小シュガフ船/大シュガフ船の対比図
  • 身体改造主義者の落合
  • 一辺が数キロ以上もある正体不明の建造物
  • 我々の観測を無効化する場のようなものが存在
  • 補助脳切り離し



第4巻
第16話:科戸瀬イザナの初陣 / 第17話:谷風長道の決意 / 第18話:科学者落合の娘 / 第19話:科戸瀬イザナが見た夢 / 第20話:岐神海苔夫の葛藤
シドニアの騎士(4) (アフタヌーンKC)

  • 「再現されたエナにも元の人間と同じ自我が存在するでしょうね」
  • 新型の背部ユニット 超高速弾体加速装置 ガウナ本体貫通弾(GCPDS)



第5巻
第21話:紅天蛾の眼差し / 第22話:科学者落合の陰謀 / 第23話:小惑星の接近 / 第24話:723の抱擁 / 第25話:第一小隊の奮闘
シドニアの騎士(5) (アフタヌーンKC)

  • オカリナで出撃を待つ紅天蛾
  • 96機掌位 機首反転と逆噴射
  • 小惑星上戦闘
  • 重力圏飛行試験機を再現した衛人型ガウナ
  • 川のような地形での空戦



第6巻
第26話:小惑星の衝突 / 第27話:東亜重工の再始動 / 第28話:エナ星白の受胎 / 第29話:科戸瀬ユレの逡巡 / 第30話:仄煉の決意
シドニアの騎士(6) (アフタヌーンKC)

  • “このとき一瞬だけ本物の人間だった時の死に際の記憶が再生される
     それはいつもすぐに消えたが確かな既視感が残った
     そして繰り返されるたびにその感覚は蓄積され強くなっていくのだった…………”
  • 「焔が怪我した原因 通信障害の事故だったんだよね」 →2巻での岐神の奸計が公的にはこのような扱いにされたということがわかる。
  • 一九式試作機



第7巻
第31話:星白閑の娘 / 第32話:白羽衣つむぎの御目見え / 第33話:白羽衣つむぎの能力 / 第34話:オカリナ攻略戦 前編 / 第35話:オカリナ攻略戦 後編
シドニアの騎士(7) (アフタヌーンKC)

  • 融合個体つむぎの初戦闘
  • 円環隊形によるGCPDS砲撃
  • オカリナによるヘイグス粒子砲射撃と、つむぎによる弾道曲げ



第8巻
第36話:大シュガフ船の鳴動 / 第37話:白羽衣つむぎの願望 / 第38話:白羽衣つむぎの思慕 / 第39話:惑星ナインへの侵入
シドニアの騎士(8) (アフタヌーンKC)

  • 居住塔を眺める三人
  • 外周壁の新居
  • 一ヶ月たってもまだ切断できない新素材
  • 高速自律支援装甲・隼風
  • 惑星ナイン上の偵察飛行



第9巻
第40話:たった二機の救出部隊 / 第41話:谷風長道の陸戦 / 第42話:星白閑の形象 / 第43話:弦打操縦士の憂鬱 / 第44話:緑川纈の決断
シドニアの騎士(9) (アフタヌーンKC)

  • 紅天蛾とつむぎの戦闘
  • コクピットに侵入したエナ
  • イザナに対する纈の呼びかけの推移:8巻で偵察隊が惑星ナインに到達した時点までは「イザナ君」、9巻での女性化確認以降は「イザナさん」。(でも携帯端末での登録名は「イザナ君」のまま。)



第10巻
第45話:仄姉妹の家宅捜査 / 第46話:かなたのはじまり 前編 / 第47話:かなたのはじまり 後編 / 第48話:臨界不測兵器の開発 / 第49話:谷風長道の極秘任務
シドニアの騎士(10) (アフタヌーンKC)



第11巻
第50話:非武装主義者の痕跡 / 第51話:遭難者の救出 / 第52話:ヒ山ララァの奮闘 / 第53話:大シュガフ船の存在 / 第54話:市ヶ谷テルルの転向
シドニアの騎士(11) (アフタヌーンKC)



第12巻
第55話:水城の出艦 / 第56話:不定形のガウナ / 第57話:仄炒の救出 / 第58話:水城の能力 / 第59話:恒星レムの引力
シドニアの騎士(12) (アフタヌーンKC)

  • 鶴音型新造戦術防巡艦・水城の出航式
  • 恒星のコロナに突入する実験機とつむぎ











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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもうループを背負ってない”
―Angela Mitchell