::: BUT IT'S A TRICK, SEE? YOU ONLY THINK IT'S GOT YOU. LOOK, NOW I FIT HERE AND YOU AREN'T CARRYING THE LOOP.

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 ASIAN KUNG-FU GENERATION“サイレン” 



もうアジカンの“サイレン”について書かずにはいられない。
まず経緯から説明しよう。
土曜の12chでやってるウィークリーカウントダウンで聴いてちょっと興味もった。
そしてタワレコでジャケ見て即買い。このイラストレーターの描く女性は、なんか独特。自立しているというか、謎めいているというか、近そうで遠く、でも近そう、そんななかでの絶妙な距離感でこちらを翻弄するようなタイプだ(とくに“君繋ファイブエム”のジャケがそう)。いいねー、そういう刹那的・破滅的恋愛って。
そしてデザインはCentral67
このジャケットはつくづくすばらしい。構図、黒と白のコントラスト、タイポ、モチーフ、構成、すべてが。
だけどアジカンついに買っちゃったな。最近はやりの、これ系のギターロックには手を出さないようにしてたんだけど。でも音、歌詞、まあけっこういいんじゃない? .....いや、かなりいいよ! 一緒に熱唱できるタイプだ。
しかし、実は単にそれだけではない。収録された2つの曲を両方とも聴き終えてから奥深さがわかった。


M-1とM-2の関係がポイント。
どっちも“サイレン”という曲名。
同一のトラックを使って、歌詞とメロディが違う。
歌詞は、M-1が男子でM-2が女子、という視点で書かれている。
でもこれは単純な関係じゃないな。
いや、基本的には男歌詞/女歌詞なんだけど、M-1が男の心を歌ってて、M-2が女の子の心を歌ってる、っていう一般的恋愛観の二項対立じゃなくって、あくまでもM-2の内容がまず前提となっていてそれに対する応答がM-1となっている。
サイレンを開いてよ、っていうのはM-2の女の子への呼びかけなんだ。
すべてはM-2に対してのもの。そうするとこのふたりの関係がわかってくる。孤独感と、ひたむきさと、すれ違い。
順番がこうなってるのも、それぞれの歌い方の違いも、絶妙な構成*1。M-2を把握してないとM-1を完全に理解することはできない。両方を理解して初めて完成する世界。でもその世界はわかりあえないふたりの微妙な関係でできていて、いまにも壊れそう、けれどわずかな希望がそれをなんとか維持しようとしていて...。
これはせつないね...。
歌い方なんかはM-2の方がいいと思うな。M-1も大好きなんだけど、既視感があるというか、ふつうの路線なんだよな...。M-2の方が可能性を感じさせる。とはいえ身体的に直行で来るのはM-1だ。そしてそれはM-2を聴いてから深く染み渡ってくる。はぁ..よくできてるねぇ。
ロックは、まず身体的でなければならない。そしてなおかつ詞へのシンクロが不可欠だ。
一寸先を少しずつ刻むことから、わずかな希望が始まる。



....しかしもう、CCCDってのがひたすらムカつく。
こういうのこそiPod入れて朝の電車で聴きたいんだよ。




*1:さすがに曲を分けてまで歌い分ける例は他にないだろうけど、男子と女子の視点の違いを曲中に表現するというのは、男女混成ボーカルだとよくある。
その代表例としてsupercarの“Lucky”を外すことはできません。supercar初期の超名曲。なにがどうLuckyなのかという意味がまたせつないんだよな...。
 






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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもうループを背負ってない”
―Angela Mitchell