[プロット]
「10分間しか短期記憶が持続しない」「真犯人探し」「逆方向への展開」
[メモ]
利用される/利用する
主導権
物語
利用するかされるかの主導権をめぐる争い
真犯人を探し出して始末をつける、という話ではなかったのが意外だった。という点で、単なるサスペンスに終わっていないと思う。映像構成的なあたらしさもそんなに感じなかったし、あまり重要なことでもないのでは。
それよりも、制限された条件下でいかに状況をコントロールしていくか、ということがよく描かれていたと思う。過去の自分がおこなった試みが、未来の自分に伝わるかは定かではない。つまり目論見が成功したのか失敗したのかを知ることすらできない。そんな状況のなかで、主人公は一旦真実に接触しながらも、それをあえて封じることで、状況に対する主導権を確保しようとする。自分を真実から離す方向へ誘導する...すなわち、フィクションへ自分を投げ込むことで。それが結果的に彼を意図せざる勝利に到達させる。真実は、目的の実行に必ずしも必要なものではないというわけだ。記憶は常に書き換えられ、自分が残したメモが記憶を再構成する。フィクションが先行する世界。