::: BUT IT'S A TRICK, SEE? YOU ONLY THINK IT'S GOT YOU. LOOK, NOW I FIT HERE AND YOU AREN'T CARRYING THE LOOP.

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 “シティ・オブ・ゴッド Cidade de Deus”(2002)



何かと良い評判を耳にしていた“シティ・オブ・ゴッドASIN:B0000BZ4J1。60年代から70年代にかけてのブラジル、リオのギャング団の物語。ノンフィクション。
すさんだ気分だったのでつい借りてしまった。ブラジルのギャングのノンフィクション? どうせ暗くてドキュメントタッチで、でもリアルなバイオレンスを描ききってるんだろうなー、まあ見てみるかそういうのもたまには。みたいな気分で。
しかし、味も素っ気もないノンフィクションかと思いきや、とんでもない。
冒頭から映像としてものすごくかっこいい。スピード感ある映像・展開、冒頭シーン最後の台詞。
完全に予想を外されたかっこよさに、完璧に引き込まれた。
とにかくテンポのいい展開。子供時代から大人へと、伝記的要素もあるそこそこ大河ドラマなのだが、時間の移り変わりを感じさせない。まったくだれることがない。キャラクターはみんな特徴的だし。飽きさせない。
軸は、まず、主たる視点を担うブスカペ。カメラマン志望。
リトル・ゼ。ギャングのボス。
ベネ。リトル・ゼの片腕。性格が良く、みんなに好かれてる。
マネ。リトル・ゼに復讐を誓う元軍人。
彼らを中心に、とにかく人は殺されまくる。大規模な抗争で。あるいは何の脈絡もなく。
しかし、もっと殺伐してるかと思ったら、全体的なスピード感と、ブスカペの妙にマヌケなキャラのおかげで、殺伐としながらもどことなくウェットなところがある。終わってからも後味のよくないようなことはない。
子供が銃をふつうに持って強盗したり、ギャング間抗争で見せしめに殺されたりのシーンは、淡泊に描かれつつも(だからこそか)、心に刺さるけれど。
とくにマネをめぐる物語なんかは、かなりぐっとくる。最後の最後まで全貌は見えてこないのだが。
こういうのがリアルな世界が実際にあるわけで、もしかすると今の自分の日常だっていつかそういう風に変わることだって、あるかもしれない。
人間の本性のひとつとして暴力があるのならば。
全体を通して感じるのは、生命力というか、躍動感。サンバだのファンクだののリズム、ディスコのライティングに重なって。
銃があるとか、ギャングが強盗したり勢力争いしたりとか、そういうのも戦いだと思うけど、それも当事者にとっては生活の一部、日常的な世界で、逆に、日本で淡々とした平和な日常生活を送っているとしても、それぞれの生活をよく見れば同様に、変化とドラマに満ちているはず。
銃を持っているかどうかは重要なことではなく、人間は結局どこでも、こういう戦いをしてるんだ、と思う。それがどのようなかたちであっても。








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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもうループを背負ってない”
―Angela Mitchell