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 LUIGI COLANI “TRANSLATING NATURE” 03 March - 17 June





LUIGI COLANI “TRANSLATING NATURE”
 DESIGN MUSEUM

 



 ルイジ・コラーニのデザインを見ると、〈未来〉のイメージとはまさにこういうものだと思う。とても優雅で美しく、猥雑な現状の世界から遠くあって。
 ただし同時に、このようなイメージは何十年も昔から未来的なものとして提示され続けてきているために、とくに目新しいものではないとも感じてしまう。たしかに未来を表象するデザインだとは思うし、それが意図されているのだろうけれど、でももはや新しいイメージだとは思えない、という矛盾を伴ったものとして。実際コラーニは1950年代ぐらいからずっとこのスタイルを通してきていて、さまざまに影響を与え消費され尽くしてもいるわけだから、レトロ・フューチャーと言った方がいいだろう。
 とはいうもののコラーニのデザインはこのような未来を指向するデザインのなかでは比較的古さを感じさせないものだとは思う。コラーニの描くイメージは、最終的には常に3Dモデルとして具体化されているというところが特徴で、イラストは概して構想時のスケッチとしてのみ用いられる。かつては、未来的イメージというものは一般的に手書きのイラストで表現されていたものだったが、今であればCGで描くところであり、その表現方法そのものでの差異にまず古さを感じ取ってしまう。でもコラーニのように模型で表現する場合には、そのような表現技術自体の劣化を感じることは少ない。
 もうひとつデザイン上の特徴を上げるならば、流体工学的な・あるいは生物(主として鯨やマンタレイなどの海棲生物)をモチーフとした曲線的デザインを基調とした中に、プロペラや着陸用の車輪、実在企業のロゴなど、馴染みある要素が伴われていることだ。決定的に異質な形象ですべてが占められているのではなく、従来のプロダクトに見られる形象から連続する要素がどこかにあって、そのことがリアリティを向上させ現実との接点を与えている。断絶と連続とのバランスでデザインが成っている。






高速鉄道のアイデア。手前はドイツ国鉄の新幹線。奥は超高速蒸気機関車





航空機。





航空機。とてもシャープ。





コラーニのデザインした航空機が無数に飛び交っているCG映像がとても良かった。
これは動いてこそのデザインなんだな、と思った。
彼のデザインは流体工学に依拠すると標榜されているけれど、実際どこまで工学的妥当性を持ったものなのかは疑問を感じなくもない。どちらかと言うと生物的形象の模倣が主たるリソースなのではないかと思う。とはいえ、そのデザインが、動くということと密接に関わりがあるものであることは、よく実感できた。









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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもうループを背負ってない”
―Angela Mitchell