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 “SPACE FOR YOUR FUTURE ─アートとデザインの遺伝子を組み替える─ ” 2007.10.27 - 2008.01.20





SPACE FOR YOUR FUTURE ─アートとデザインの遺伝子を組み替える─
 東京都現代美術館





どういう全体テーマかよくわからなかったけど、13ヶ国34のクリエイターたちの作品で構成される企画展で、かなり満腹になれる。




Elisabetta Di Maggio
ティッシュをレース状に切り抜いてつくった巨大な垂れ幕のような作品。水生微生物をモチーフにしてるとのことだけど、そのままモチーフにしているのではなくてどこかの都市の地図を混ぜていると思う。単に地図だけを模様として使ってもいいかもと思った。


Michael Lin
具象的な花の絵が掲げられていて、そのまわりの壁には、同じ絵柄が線画として壁面に直接描かれている。
カンヴァスに描かれた花の絵からは新鮮味を感じられないのに対して、線画の方は抽象的な模様として白いモダニスティックな空間によく似合う。
具象的で使い古されたような絵柄も、抽象化することで現代的になる。
現代の空間はそのような抽象化された絵を好んでいる。どっちが良いとか美しいとかでなくて、単に今の時代の選好はこうなっている、ということを示しているのだと思う。こうやって対比されるとすごく明確に理解できる。


R&Sie(n)+D
〈都市の形は、少数の独断や支配によるものではなく、いくつかの不測の事態の集合として出現します。〉という認識のもとで、有機的形態の造形を提示している。でも結局それもひとつの準拠視点で形成されたものにすぎないと思った。かたちの生成のプロセスに都市の複雑さ・多様性を反映させているとしても、そのようなプロセス自体、あるいはそのプロセスの採用を決定している者は単一のものだし。このようなかたちで多様性を標榜する作品では、作品を作品として完成させる決定者の単一性が隠蔽されていると思う。前提としている認識は同意できるし、ひとつの形式に還元されないような都市をつくっていきたいという目標設定は理解できるけれど...。このタイプの造形は、むしろ多様性云々って言わずに別の説明を付与してってもいいような気がする。


SANAA
“フラワー・ハウス”という住宅計画の1/2スケールの模型。1/2って、ほぼ原寸に近い感覚だった。この住宅において植栽は不可欠な要素で、ランダムに見えるそれらの配置も徹底してスタディされているはず。外壁面はすべて曲面ガラス、不透明な壁はトイレまわりしかない。外部も内部もガラスを通してすべて見通すことができる。曲面ガラスで微妙に視界を歪めながらも、植栽が内外分け隔てなく続く空間を見通せるのは、たしかに気持ちいい感覚だった。でも、こういう家に住めるのは、24時間よそ行きの服で過ごすことを厭わない人たちだけだと思った。


COSMIC WONDER
敷き詰められたタオル?と、淡いグレーで塗り込められた植物、吊られたテントから成る庭のようなもの。


足立喜一朗
マジックミラーでつくられた電話ボックスによる「一人ディスコ」。
ここに入れば外からは丸見えだと言うことはわかっていても、中に入りミラーボールの下でヘッドホンをかけると、あまりそのことが気にならなくなってしまう。
SANAAの“フラワー・ハウス”に通じるものがあると思った。
“フラワー・ハウス”の場合は、透明な間仕切により、外からも中からも視線は完全に双方向的で、内部での生活にあたっては外の視線を気にしないことが前提となる。一方この作品では、マジックミラーのために視線は一方向的で、中から外が物理的に見えないのと同時に、ディスコ的な装置のおかげで外が気にならなくなる。
 外から見通せることが中から見てとれるけど、気にしない / 中から外は見通せないけど外からは見られていることがわかっている、でも気にしない
誰かから見られていることを自分が見ることができるかどうか、という違い。


assume vivid astro focus (avaf)
バラック系のインスタレーション。こういう作品は今の建築家たちの好みには入っていない。でも建築として実現しやすそうだし、実際おもしろくなると思う。


Shaun Gladwell
自転車から撮った映像。下に向けたカメラで地面を走る前輪を撮っていて、その映像をギャラリーの床に投影しているので、スケールの違いがあるにもかかわらずとてもリアルに見える。PSPに映した映像もあった。


Carsten Nicolai
真っ暗な部屋での霧のインスタレーション。音が重要な要素。


DEMAKERSVAN
“シンデレラ・テーブル”:断面スイープでつくった造形をレイヤーに分解し、それを木材により積層させてつくったテーブル。AAやUCALで流行ってたような模型の作り方と同じ。でも実際の家具の作り方として使うのは良いかもと思った。
“レース・フェンス”:よくある金網を基に手作業でレース的なかたちに変形していく。


Olafur Eliasson
球状に構成された二種類の照明器具。外周にフレームがまわっていて、全体を転がしていくことができそうな感じ。


石上純也
吹抜空間に浮かぶ巨大なアルミの風船。表面の反射の感じが良かった。


Grazia Toderi
夜景を基にしてつくったSFっぽい感じの映像。


Barbara Visser
“トランスフォーメーション・ハウス”:空間が先行するのではなく人の動きに合わせてその都度つくられていく空間のアニメーション。おもしろかった。
人や動物が登場していろんな動きをしていくのだけど、それらはすべて2D的に投影され、ペラペラの映像がくるくるまわったりしながら動いていく。それらの登場は、空中から現れる人間の手によっておこなわれる。あたかも神の手に用意されるようなものとして。
映像が黒い壁に投影されているのも良かった。




とても多かった...。
感想書いてないのがまだもっとある。
(この美術館がもっと行きやすいところにあって、入場料も安ければ)もう何回か見に行きたいと思った。










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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもうループを背負ってない”
―Angela Mitchell