“Das weiße Band - Eine deutsche Kindergeschichte”
Director : Michael Haneke
Germany/Austria/France/Italy, 2009
第62回カンヌ・パルムドール受賞作品。
1910年代、第一次世界大戦直前のドイツ。小さな田舎の村で疑惑と不信が醸成されていく過程を描く。
いくつかの奇怪な事件が起こるけど、結局それらの真相が何だったのかは作中ではっきりと解明されていない。
すべては映画の中にあるのですよ。「白いリボン」に登場するすべての犯罪にも、論理的な説明がなされています。見えないものを見ようとすることで、見えてくるものを見てください。
【連載】ミヒャエル・ハネケ監督インタビュー 3 http://shiroiribon.blog77.fc2.com/blog-entry-13.html
事件の「犯人」およびその行動に至らしめた「原因」、そして以後何に「帰結」したか…… といったことは匂わされているし、充分に類推可能になっている、と思う。
けれどもそれらは明示されてはいない。決定的な描写は何もないままに終幕を迎える。
冒頭での語り手の独白。
これから話すことがすべて真実か あまり自信はない 噂で聞いた部分もある 年月を経ても不明なことが沢山あるし 未だに解かれない謎も多い
この台詞がいみじくも集約するように、真実が示されないということこそが重要で、その意味でこの作品はミステリーとは完全に異なっている。
もしこの映画が、結末で犯人やその動機なんかをわかりやすく示し、史実の何につながっていったのか、ということをあたかもひとつの教訓として描くものであったとしたら…… それはたぶんわたしの心には何も残さなかっただろう。断言のようなメッセージを自信たっぷりに示すものよりも、取り留めない不穏を纏い、ただ思考を促す茫漠に終わるものの方が、映画としては巧妙だと思う。
IMDb : http://www.imdb.com/title/tt1149362/
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