::: BUT IT'S A TRICK, SEE? YOU ONLY THINK IT'S GOT YOU. LOOK, NOW I FIT HERE AND YOU AREN'T CARRYING THE LOOP.

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 “エンダーのゲーム”






“Ender's Game”
 Director : Gavin Hood
 US, 2013





  • あの原作がこのように映像化されたという点で満足している。
    基本的に、原作の内容・テーマに忠実。「理解」「死者の代弁者」といったキーワードもきちんと語られている。
  • でも、やっぱりこれは原作読んでる前提で見る映画だと思う。
    • 省略してる部分がいろいろあるので、映画だけ見るとたぶん理解しづらいはず。
      • たとえば「サード」ということばとか。
      • 兄と姉の地球での活動は現実社会の昨今を考えると特におもしろい部分なので、省いたのはもったいないけど、テーマ理解に大きな支障はない。
      • 致命的なのは、展開が早すぎること。
        映画冒頭からラストまであまり時間が経過してないように見えるけど、原作だと数年を費やしている。(長い時間仕込まれるからこそ本来あの結末が驚きになるはず。)
        映画版は短すぎるので、訓練の積み重ねと主人公の成長、および人間関係の変遷が実感できず、ストーリーの説得力が減っている。
        原作知らないで見た人は酷評しそうだな……と思う。
    • このクオリティでそのままもっと長くすればいいのに、と思ったりした。二部構成ぐらいでもよかったような。
  • 30年前の小説を現在の映像技術で克明に視覚化した、ということに価値があって、内容を既に知っている人が映像として楽しむ映画。
    • バトルスクールの訓練室とか。あの訓練って、文章で読むとどんな感じの光景なのかよくわからなかったけど、今回このように映像になってよく理解できた。……といっても訓練戦闘の描写細部についてはまだ把握しがたい感じはあったけれども。このあたりだけじっくり描くスピンオフとかあると、スポーツ観戦みたいに楽しめるような気がする。
      『ゼロ・グラビティ』でも思ったけど、無重力状態をここまで自由に描けるようになったのってすごいことだと思う。
    • 全体的にビジュアル良かったと思う。艦隊戦とその指揮の様子とか。
      • ガルガンティア第1話の戦闘シーンに近いものがあった。
      • なんか俺、極端な話、人間ドラマとかぜんぜんなくてもいいからこういう戦闘映像を延々と見てたいって欲求持ってる。
      • 役者たちがかなりイメージ通りだった。
  • 『エンダーのゲーム』って「驚愕の結末」の代名詞みたいに語られる作品だけど、有名すぎて、『猿の惑星』と同じように誰もが知ってて当然なものになってるようにも思う。
  • この映画がボイコット運動の対象となっていることは、看過せずに付随して知っておく必要があるように思う。
    というのは、原書における「寛容性」「他者理解」というテーマが、作者自身へまさに投射される事態となっているので。
    原作、映画、そして映画をめぐる社会的状況というそれぞれが関連し合って、テーマについての思考を誘発している。この状況を把握することは、原作のテクストが主張することを更に深化させる。

    英語圏での製作者インタビューを見ると、高い頻度でこの問題について聞かれている。
    とりあえず代表的なものとして、
     ‘Ender’s Game’ director talks sequel, Orson Scott Card controversy - Los Angeles Times
      http://herocomplex.latimes.com/movies/enders-game-director-sequel-orson-scott-card/


IMDb : http://www.imdb.com/title/tt1731141/






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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもうループを背負ってない”
―Angela Mitchell