ラテン・ジャズ。
ニューヨーク。プエルトリコ+イタリア系ピアニスト。
黒人宗教をモチーフとしたアルバム、ということだけど、各曲の趣はけっこう違う。土着的なものもあるし、都会的ジャズ・ソウルもあるし。それぞれの曲のなかでも、なんかいろんなものが混ぜ合ってる。そういうハイブリッドなのが、ラテン?
伝統を維持することに成功した文化がある一方で、移民とか植民地化とか奴隷化とか外的理由で分断された伝統というのもあって。主として非ヨーロッパ世界、主として南北アメリカ大陸に伝播された伝統が、さらにそのなかで相互に混合されていって、独自の文化を成していく。もはや本来の自己の形式にこだわることもできず外部のさまざまな形式を意識的にも無意識的にも取り込んで生き延びていった結果としての文化。人為的に守られ残ったのではなく、激しい変動のなかでたまたま/あるいはかろうじて生き残ったもの。ルーツ探しをおこなおうとしても、いまさら戻ることもできないし。不毛なルーツ探しのなかで、でもそれすらも取り込んだものが新たな表現となっていく。
そういう混血的な文化がさらにアメリカやイギリスにインパクトを与えていくわけだ。とくにニューヨークやロンドンのような移民の街で。ロックにしてもジャズにしても、そういう過程を経て今に至っている。現代の文化って、そういうものなのか。世界社会とか、脱伝統化とか。
それにしても、どうも自分のなかでは、メキシコだとかジャマイカだとかブラジルだとかっていうラテン世界って、もっとも掴み所がない土地という印象がある。行ったことがないというのもあるけれど。インドとかアフリカだったら、いかに異郷であろうとも、想像はつく。でも中南米って。そこでの生活っていうのが思い浮かばない。確固たるイメージがない。その曖昧さこそがアイデンティティ?
ちょっと興味持ち始めてきた。
M-4 “MI CONGO TE LLAMA MEDLEY” 12分以上のメドレー。このアルバムの象徴的な曲。
M-5 “HIGHEST GOOD” ダンサブル。