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 “Serpentine Gallery Pavilion 2006, Rem Koolhaas and Cecil Balmond, with Arup 13 July - 15 October 2006”




サーペンタイン・ギャラリー パヴィリオン 2006



Hyde ParkのSerpentine Galleryで毎年つくられている仮設のパヴィリオン。
毎年違う有名建築家がデザインしている。
今年は建築家 Rem Koolhaas と構造技術デザイナーの Cecil Balmond によるデザイン。半透明な小ホールの上に気球が乗っているような構成になっている。
中にはカフェがあったりメディアアーティストの映像作品があったりする。


 
Hyde Parkに近付くと、森の隙間から、夕日とか月とかと見紛う巨大な物体が目に入ってきてぎょっとする。まさかあれ?と思うとやっぱりそう。
遠くからだとスケール感がつかみづらく、実際より遙かに大きな構築物のように見える。



 
全景。近寄って見てみるとそんなに威圧感はない。非常にわかりやすく単純な構成をしている。



 
内部。気球は屋根であり、同時に天井でもある。
天井を囲って垂れ壁のように枠が切り取られているために、天井の曲面が強調されている。
この垂れ壁があることで、単なる気球の下にある空間ではなくて、曲面形状の天井を持つ矩形の部屋という、外観とは切り離された内部空間ができている。
壁に描かれたパターンも効果的(Thomas Demand による)。全体的に半透明の素材でつくられたこのパヴィリオンにあって唯一、彩りをもった部分。



 
外壁と屋根/天井は分離されている。外壁の透明素材は気球に接触することなく自立している。ワイヤーをアクリル板で挟み込んだような部分で補強されている。



 
外部から気球に空気が送り込まれている。送風機が止まれば気球は萎んで、全体はつぶれてしまうのか? ちょっとわからないけど、もしそうだとしたら、普通の建物のように柱とか壁とかで自立しているのではなく、送風機に電力供給が為されることが建物の自立に不可欠であり、機械によって生存し得ている建物だと言える。



 
夜景。



[メモ]
 毎年違う建築家がこのパヴィリオンをデザインしているけど、毎年何かテーマがあらかじめ与えられていてそれに基づいてデザインが為されているというわけではない。あくまでテーマは自由。仮設のパヴィリオンを好きなようにデザインする、ということだけ。
 このような自由な条件下で、建築家たちはどのように自分のテーマを決めるのか。
 Hyde Park という、周囲に芝生と樹木しかない単調な環境下では*1、建物の置かれる環境をデザインの出発点/拠り所にする、というのも難しい。状況が自由すぎる。
 だからそこでは、建築というものに対してより抽象的な思考が展開されることになる。建築外のものに対する参照は(たとえば社会性だとか経済性だとか。)極力抑えられ、建物の構造であったり構成であったり、建築自体に対する自己準拠的なテーマが思考される。


・構造の関係(気球から吊された垂れ壁、自立する外壁・回廊)
幾何学的な構成(卵型の気球、曲面天井、円形の外壁、矩形の垂れ壁)




*1:実際は隣に恒久パヴィリオンも建っているが。






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―Angela Mitchell