“Before”
1992
Greg Egan
これもまた別の角度から「時間」を扱っている短編。
近未来、地球周回での軌道モノポール加速器施設で起きた事故の話。
作品内での素粒子物理学が到達した仮想として、非常な高エネルギー状態では時間次元と空間次元の違いは融けて完全な対称構造になるという設定がある。すなわち、「四等価次元空間」。
これはビッグバン特異点の“過去側”に結びついている。特異点以前にどのような“物理学”が適用され得るかはわからない。
もしほんとうにこの空間がぼくたちの宇宙と結びついているとしたら、それが“変化してぼくたちの宇宙になる”というより……それにこの宇宙の初期条件をあたえる、というほうが近いだろう。
この「四等価次元空間」に入り込んだ場合、外の世界との時間的同期はどうなるのか。
グローバル・タイムラインとローカル・タイムライン。
SFマガジン2012年4月号収載
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/02/25
- メディア: 雑誌
- クリック: 26回
- この商品を含むブログ (17件) を見る