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  “魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語”






 観てきた。


 1. あたりさわりない範囲での感想

 本編シリーズがあれだけ完全な出来映えだと新作続編つくるというのは相当難しいだろうなと思っていたので、ハードル低く構えて行ったんだけど、うん……あぁ、こういうのもありかな、と感じた。
 結論から言うと、本編が「表」の物語なら、これは「裏」の物語、だと思う。


 2. 少し踏み込んだ感想

・最初のあたり夢かパラレルワールドのどっちかというのは確実なので、冷めた目で見ざるを得ないよなぁ……。とりあえず期待しつつ冷静に見始める。
・序盤見滝原のビジュアルきれい。バスのあたりからすごく良かった。
・戦闘けっこう見応えある。劇場版だし、このぐらいの迫力は当然あるよね。
・次第に明らかになる段階    かなり腑に落ちた。なるほどねー、筋が通ってる。
・最初のクライマックスあぁー、はいはい、まあきれいにまとまった感じかも。こじんまり感もあるけど、いいんじゃない―?
・そのあとん…?? うん、……? え……?! ほぉー……。??!! うーむ…??
・エンドクレジットあー、でもここの絵でうまくまとめられた感はあるかな… これで終わるならきれいと言えばきれいか。
・そのあと……ん?!?!?!


 3. 評価

 本編を超えた、とまではいかないかな。でも本編をけがすようなものにはなっていないと思う。その点に関しては安心した。
 本編の結末およびそれ以後の世界について、別の見方で掘り下げたような話。


 4. 以下、完全ネタバレ含む感想


 シリーズ本編が物語として完成され均整なかたちでできていたものだったのは間違いない。
 あの終わり方が特に良くできていたのは、一旦ひとつのハッピーエンドを迎えたということにとどまらず、それが一時的なものではなくて主人公がその後も生きていく上で永続的な糧となるであろう方向性を示していた点にあったと思う。
 えてしてハッピーエンドというのは、どうもその瞬間だけしか成立してないようなものが多いような気がしている。たとえば『耳をすませば』だったら、あのふたりがあのままずーっと付き合い続けていずれ結婚して一切破局を迎えず老後まで幸せに生き続ける……っていうのがあまり想像できなくて、まあ現実的にはどっか早い段階で別れるよね、っていうようにしか感じなかったりもするわけだけど、でも、まどか☆マギカ本編は、そういう「ハッピーエンド以後」も含んだ上での終わり方、という、一段階上位のハッピーエンドのような感じがあった。まどかは去ってしまったけれど、でもまどかの記憶は、今後ほむらが苦難に見舞われたとしても、生きる上での確実な力になり続けるだろう――というような。それは前向きな結末のあり方としてとても良いかたちのものだったと思う。
 ――という感じで、まどか☆マギカは一回きれいに終わったと思っていたわけだけども。
 ほんとうに何も問題を残さず終わっていたのか?っていうとそうではなかった、というのがこの新編。
 「本編はきれいに終わったんだ」と思いたかったのであまり考えないようにしてたのもあるかもしれないけど、あのようにいわば「聖性」によってまとめられた物語というのがあまりにもきれいにまとめられすぎてることへの疑問っていうのは、よく考えると感じてないわけではなかった。
 まどかが究極に聖なる存在に昇華して何もかも救済してくれる――そして自分がこの世界で戦い続けて力尽きたとしても、そのときまどかはまた救いに来てくれるんだというのは……うん、神一般とか宗教一般って、そういうものかも、って思うわけだけど。でもほんとうにまどかはそれでいいのか、ほむらはそれでいいのか、っていうとそうではないよね、と。たしかにそういう問題は残ってて、そこにあえて今また新編をつくることできちんと向き合ったのがこの映画だと思う。
 新編の途中であたかもQBが今回のラスボスかのように見せられる段階があって、あー、QBってばほんとしつこいねー。。。……みたいに思ったりもさせられるんだけど、でもよく考えるとQB(およびその種族)とは本編で完全に決着済のようなものなので、いまさらQBたちがまた何か画策してるとか宇宙の支配権がどうこうとかそういうのが新編の軸になり得るはずもなくて。
 決着してないテーマがあるとすれば、ほむら自身の思いである、というのはちょっと考えれば観る前からわかってよさそうなものだった。

 で、その答というのが、まったく予想もしてなかったんだけど、実際こうやって提示されるとあぁ…それしかないな、というかたちのもので。それがまあ、「神」であるところのまどかに対置される「悪魔」としてのほむら。というとんでもないもので。……いやー、観てたときはけっこうびっくりしたけど。でも実際これしかないかもな、っていう。
 本編で自分がおそらく潜在的に感じていた違和感は、まどかとほむらという対のうちの片方が神の位置に行ってしまうことにあった。そういう不均衡な関係でも果たしてまだ「わたしの、最高の友達」と言い得るのだろうか…?と。まどかがああいう究極存在になってしまったのは、物語としてはたしかにきれいではあったんだけど、あそこまでアルティメットすぎる存在ってのもどうなんだろう…?って思っていたことへ、まさかほむらをまどかと同じレベルのアルティメットな位置に据えてしまう回答が来るとはまったく想像してなかったけど、でもけっこうしっくりきた。というのは、これでふたりはシンプルに対等になるわけだから。しかもその先に「関係性」が期待できるし。
 ……これは本編の結末をかなり覆してるともいえるし、あの先を描いたとも言えるし、あのとき取り扱われなかった問題にきちんと向き合ったとも言えるし。
 本編とは違う。でもあの問題系の延長にはある。別種の解を提示しているけれど。
 そういう意味でこの「新編」は、本編という表に対する裏の位置にあると思う。












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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもうループを背負ってない”
―Angela Mitchell