おもしろかった。
コメディ。低予算。撮影4日間。出てくるシーンは部屋4つの室内のみ。
登場人物はみんなチャラい――というか明らかに全員DQNとして描かれている。導入部の部屋飲みのシーンで充満するそういう空気が濃すぎて眩暈しかねないけど、本題はこの後、それぞれが帰宅してから各自の部屋で何が起こっていくかにある。ストーリーというより、会話やシチュエーションが珠玉。「あるある」系のおもしろさ。でも実際にこういうの聞いたことあるかっていうとなかったりするよね、そういう意味でほんとうはこれ「あるある」というより「いいそう」なんだよ、っていうことを舞台挨拶ゲストのダイノジ大谷ノブ彦が言ってた。たしかにそうかもしれない。
見る人の生活様式とか属するクラスタによらず、誰にとっても笑える映画だと思う。誰でも共感・理解できる普遍性がある。登場するほぼ全員が、引くレベルのどうしようもない面を持ってるんだけど、でも誰でも何かしらこういう部分あるよなー。だから最終的にはいとおしく見えてきてしまう。
- 都会に住む若い単身者(同棲生活者含む)の居住環境とその様式が的確に描写されている。物があふれる部屋の感じが。実態的な生活空間。
- こういう空間描写の対極にあるのが、写真映えのするよそ行きな光景。そういうのが映画やドラマあるいは空間デザイン提案において一定の意味合いと機能を持っていることは否定しないけど、実際の生活とは違う。もしそれらが「生活を描いてる・提案してる」などと主張してたら、表現との間に乖離を感じる。
- こういう空間描写の対極にあるのが、写真映えのするよそ行きな光景。そういうのが映画やドラマあるいは空間デザイン提案において一定の意味合いと機能を持っていることは否定しないけど、実際の生活とは違う。もしそれらが「生活を描いてる・提案してる」などと主張してたら、表現との間に乖離を感じる。
- 現実に自分の経験のなかで接したことのない会話や状況でも「いかにもありそう」と思ってしまうというのは、なぜなのか。日常コミュニケーションの規範的秩序を成す概念編成の妙?
- 客観視座で並列的にシーンを見てるから笑うことができるけど、当事者の視点で見たら大まじめなことでしかないはず。人間の生って基本的にそういうもの――というより、喜劇とはそういうものなのだろう。
監督は映画『モテキ』の大根仁。脚本・原作は劇団ポツドールの三浦大輔による戯曲。“シネマ☆インパクト”という映画塾の実践企画として製作された作品とのこと。
公式サイト:http://koinouzu.info/