プリペアード・ピアノの奏者によるポスト・クラシカル。ドラムやストリングスを併用してた前作と違って、本作は基本的にプリペアード・ピアノ単独。
どういう音楽なのかというと、たとえばこういう曲↓
で、この音がどのように発せられているのかというのが問題。
多彩な楽器が重層的に組み合わされているように聞こえるけれど、このアルバムの曲は、ほとんどがたった1台の楽器から生成されている。
この動画がわかりやすい↓
「おもしろいのは、プリペアード・ピアノの素材は、びっくりするようなすばらしい音を出すときもあれば、まったく何の役にも立たないときもあるってこと。だからいろいろ試して探っていかなきゃならない」
「ミントタブレットの箱とかは、それ自体、既にパーカッシブな音を持ってたりするんで、ただそれを始動させればいい。……一方クリップの場合、いちばん良い使い方は、弦をこうやって留めること。これで音がミュートされる。こんな感じに。だから 5・6個のクリップを使うと、パーカションセットをひと揃い持つことになるね」
「低音部に何もないので、貝殻の束を置いてみようか。……すると、こんなふうに、もつれた音が加わる」
ピアノの物理的なカスタマイズ。
メロディの中心は純粋なピアノサウンドではあるとしても、それ以外のパーカッションとかノイズのような異なる種類の音もすべてキーボードの打鍵だけで発生されてるっていうのがおもしろい。
これって、実はサンプラーの発想にすごく近い気もする。MPCみたいに音をパッドに割り当てて、リアルタイムに演奏する……という感覚に似たものが。(音要素の単位長さは違うけれども。)
いろいろ試行錯誤して「曲になる音」を組み合わせていくんだろうけど、偶然に拠るところも大きかったりしそう。
特に銘記しておく曲
M-1 “Elizabeth Bay”
M-3 “Thames Town”
M-5 “Agdam”
M-8 “Bakersville”
曲タイトルは、世界のさまざまなゴーストタウンの名前から採用されている。
Hauschka
Information
Birth name | : Volker Bertelmann |
Born | : 1966 |
Origin | : Germany |
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