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  “アート・スコープ 2012-2014 ―旅の後もしくは痕” 2014.07.12. - 2014.10.13.







アート・スコープ 2012-2014 ―旅の後もしくは痕
 Art Scope 2012-2014 : Remains of Their Journeys

 今村遼佑/大野智史/リタ・ヘンゼン/ベネディクト・パーテンハイマー
 原美術館





 日本とドイツとでアーティストを互いに派遣し合い、その期間に彼らがアーティスト・イン・レジデンスを通じて制作した作品を発表するプロジェクト。これで5回目。一定の制限のもと、写真撮影可。


 今村遼佑の作品がもっとも良かったのでメモしておく。
 パンフレットによれば、『日常生活の中や記憶から想を得て、主に小さな光や音などのささやかな現象を、繊細なインスタレーションとして作品化するのが特徴』。
 実際、まわりの空間が静かな状態にあるときこそ深く感じ取れるような作品で、自分の知覚を研ぎ澄まして観賞する必要がある。
 その分、心の奥にすっと入ってくる感じがあって。とめどない思考を促すタイプの作品でもないし、派手なインパクトがあるわけでもないし、“小品”という感じなんだけど、とても印象に残った。



風と凪(炭酸水、時計、窓の外)





  • 映像作品。作品の構成要素はタイトル通り、「炭酸水」「時計」「窓の外」。これらが異なる複数の時間レイヤーとして表示されている。
    炭酸の泡とそれが落とす影、時計の針の動き、窓の外の木々のざわめき。それらのうちあるものは動きを止め、他のものだけが動いていたり、という映像。
  • 作品内には三つの時間レイヤーがあるわけだけど、作品を見る視点というのが実はそれらを包括する第四の時間軸であることにも気付かされる。



風の強い日 #2





  • これも映像作品。『風と凪(炭酸水、時計、窓の外)』と対を成すような作品。こちらはただ窓の外の光と風を描き続けていくような映像で、時間軸はひとつだけ。
    加速された時間というような映像ではあるんだけど、『風と凪(炭酸水、時計、窓の外)』とは異なりこういう情景を現実に知覚することは可能であろう、という点が大きな意味合いを持っているように思う。



真夜中の8月通りで





  • 壁に掛けられたふたつのランプ。よく見るとそれぞれの中には、街灯のミニチュアが入っていて、片方ずつゆっくり点いたり消えたりする。



やがて雨は静かにノックする





  • これも相当に繊細。天井から吊り下がったペンダントライトと、壁際に置かれた机、窓枠や机の上・ランプシェードに配されたソレノイドの小さなデバイス。時折ソレノイドがかすかな音を発する。
  • 音によって空間構成の知覚が意識させられる。この構成をベースとして、ライトの緩慢な明滅がブラインドを通した外部の自然光景が持つ動きと対比させられている感じ。
    その意味では『風と凪(炭酸水、時計、窓の外)』『風の強い日 #2』という対にも似ている。



遠くの出来事

  • エントランスのカウンター横に展示されている作品。
    最後に見ようと思ってたら忘れて出てしまったので、ちゃんと見てない……。










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―Angela Mitchell