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 E・ゴッフマン “行為と演技 日常生活における自己呈示”



“The Presentation of Self in Everyday Life”
 1959
 Erving Goffman
 ISBN:4414518016



行為と演技―日常生活における自己呈示 (ゴッフマンの社会学 1)

行為と演技―日常生活における自己呈示 (ゴッフマンの社会学 1)






社会学
人々の対面的相互行為を分析した著作。演劇論的分析方法を採っていて、「演技」「演出」「観客」「舞台裏」などといったことばによって相互行為が説明されている。

  • 大きな特徴
    • 対面的相互行為を非体系的-自然主義的観察法で研究したこと
      (それまでの対面的相互行為研究がおこなってきた「厳密科学」的手法、すなわち実験室内での相互行為を定量的に記述する手法への批判)
    • 演出論(ドラマトゥルギー)の語彙を用いたアプローチをおこなっていること
  • 本書の前に押さえておいた方がよいと思われる概念
    • 状況の定義 the definition of the situation
      • 人が自分を取り巻く状況をどのように認識し意味付けしているか、といったこと(W. I. トマス)。人は自らが定める状況の定義をもとに行動する。行為を行為者の主観的意図によって説明しようという考え方。(cf. 『もし人々が状況を現実であると定義するならば、それらは結果においても現実である』(トマスの公理) →〈予言の自己成就(意図せざる結果)マートンへ関連)
  • 基本事項
    • 社会組織 social establishment:特定の型の活動が規則的に生起する、知覚にとって固定的な隔壁・物理的境界によって区画された場所。
       →本書の研究:印象操作という観点からあらゆる社会組織を研究すると多くの成果を挙げられるのではないか?
    • 対面的相互行為 interaction:双方が直接身体的に相手の面前にあるときの、互いの行為に対する行為主体の相互的影響。
    • パフォーマンス:参加者が何らかの仕方で他の参加者に影響を及ぼす挙動のすべて。



序論


  • 状況の定義にあたっては、情報が重要となる。
    • 行為の主観的意図は、表出行動によってわずかに確認できるにすぎない。他者は行為主体との相互行為に関する良否の証拠を見つけかね、行為を型通り・自然な徴表として受け入れてしまうことがある。
      →行為主体は意図的あるいは非意図的に自己自身を表出するように行為せざるを得ず、それによって他者はそこから何らかの印象を受けることとなる。
    • 行為主体は、他者が定式化する「状況の定義」に影響を与える仕方で他者の反応を統制しようとする。具体的には、そういう印象を与えるよう自己を呈示することによって。
    • 本書は、非意図的な表出(expressions given off)の方に焦点を当てている。
  • コミュニケーション過程には非相称性がある。
    • 他者は、行為主体が何気なく表出するものを妥当性照合の手がかりとして利用しようとするが、行為主体はこれに気付かなかったりする。観察されざる観察者の観察。
      一方で行為主体はそうである可能性を巧みに利用して、印象を正確なものと感じさせようとする。
      結果、無限のサイクルをもつゲームに(しかしたいていの場合、観察者の方が行為者より有利に立つことになりがち。)
  • 参加者は協同して、単一の包括的な状況定義に寄与する。→パフォーマーとオーディエンスの間にはワーキング・コンセンサスが確立し維持される。
  • 行為主体が参加者に関して最初に持っている情報が決定的に重要。この最初の情報に基づいて行為主体は状況を定義し対応方針を立てるから。その後の展開は最初にとった立場に矛盾せずそれに基づいて修正されながら積み上げられていく。:第一印象が重要 →自己呈示
    最初の定義は事後の協調的活動の見取り図になるため、投企された状況定義は道徳的性質を帯びる。
  • 相互行為をおこなう内に、投企された定義に矛盾したり不信が起こったりすることがあり得る。(攪乱
    それに対しては予防的措置がとられ、攪乱に対する関心が重大な役を果たすようになる。
  • つまり、行為主体には他者が状況から受ける印象を統制しようとする動機がいろいろある。
    この書では、印象を保持するために用いられる手段やそのような手段に付随する偶発事について述べる。
  • 分析に当たっては、演出論的諸原理による演劇的パフォーマンスのパースペクティヴを採用する。(ドラマトゥルギーの諸原理 dramaturgical principles



第1章 さまざまのパフォーマンス


  • パフォーマンスとはどのようなものか
    • 行為主体の挙動を他者に有意味なものにするためには、伝達したいと願っているものが挙動によって表出されるようにしなくてはならない。(劇的表現)
    • 見せかけと態度には相互保証的整合性が期待される。しかし両者は互いに矛盾し合うことがあるし、偶発的事態によって矛盾することもある。
    • あまりにも人間的な自己 all-too-human self と 社会化された自己 socialized self の乖離。
    • 理想的基準と両立しない行為は抑制・隠蔽されねばならない不信は全活動分野に影響を及ぼす。
  • 役目を遂行する仕方の習得
    • われわれのレパートリーには新しい舞台装置のなかで必要とされるパフォーマンスのこごまとしたことがすでに大量に仕込まれている。
    • 属性に付与する挙措動作ならびに外見の基準・型の遵守



第2章 さまざまのチーム


  • 個人を分析研究の対象とするのではなく、チームという単位を対象とすることに意義がある。
  • パフォーマーは、ひとつの行為のパフォーマーでありかつ同時に自分自身のオーディエンス(観察者)でもある。
  • チームの構成員は、相互依存と相互間の隔意なさという紐帯による相互関係を持つ。
  • パフォーマーの目的は特定の状況定義を維持することであり、チームは、状況定義が維持されている相互行為に関連して形成される。チーム構成員は、状況の定義を維持するために必要となる印象の維持のためにおこなう演出上の協力のゆえにのみチームの構成員になる。



第3章 さまざまの局域と局域行動


  • 相互行為のパフォーマンスがおこなわれている場所(物理的空間)は、パフォーマンスに対応して 表-局域 / 裏-局域 / 局域外 に分離している。
    • 表-局域 front region:パフォーマンスが呈示・表現される場所。
    • 裏-局域 back region:パフォーマンスを準備し、不信を招く側面を抑制する場所。舞台裏。印象がつくり上げられ、パフォーマンスの予行や点検がおこなわれる。演技や役柄のレパートリーがここに収納されている。パフォーマンスが人に抱かせた印象が事実上意識的に否定されている場所であり、表-局域から隔離・隠蔽しておく必要がある。
    • オーディエンスや局外者による表-局域および裏-局域へのアクセスは、統制される。



第4章 さまざまの分裂的役割


  • 不信を招くような事実(破壊的情報)は状況維持に支障を来すものであるため、パフォーマーにとって情報統制は基本的問題となる。
  • 相互行為のパフォーマンスにおいては、パフォーマー/オーディエンス/局外者という機能的区別がある。この区別は、それぞれが所有する情報・アクセスできる局域を区分しているが、実際にはその組み合わせにはさまざまな変種がある;分裂的役割



第5章 役柄からはずれたコミュニケーション


  • 相互行為攪乱の可能性という観点で、役柄からはずれたコミュニケーションについて考察
    • 公式に維持された印象と矛盾する情報を伝達するコミュニケーションの類型



第6章 印象操作の技法


  • パフォーマーもオーディエンスも、攪乱や状況定義への背馳を回避・修正するために、印象操作の技法を用いている。
    • さまざまな防衛的属性と実際的措置


  











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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもうループを背負ってない”
―Angela Mitchell