::: BUT IT'S A TRICK, SEE? YOU ONLY THINK IT'S GOT YOU. LOOK, NOW I FIT HERE AND YOU AREN'T CARRYING THE LOOP.

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 キース・ブルック “戦争3.01”



“War 3.01”
 2012
 Keith Brooke






  • 誰も気付かない間に開始して瞬間のうちに終了した戦争。
    • 実際にプロセスとしてどのようなことがおこなわれたかすごく興味あるんだけど、その描写はない。
      それを具体的に描くとすると、同載の短編『水』における経済・金融攻撃みたいな感じになるのかも。
  • 「瞬間の戦争」という掴みもおもしろいんだけど、それはミスリードで、実はまだ終わっておらず途中なのだ…という仕掛けも良い。
    • このような事態を「戦争」と呼ぶべきなのだろうか、という疑問はある。そのようなものにはまた別の名がふさわしいような。
      ……というより、メッセージが「戦争がたった今始まって終わった」と言っていること自体も攻撃の一環と考えた方がよいのかもしれない。
    • そう考えると、メッセージが自称している名前も虚偽という可能性もあるのかも。
    • バケットテスト」というのが根幹のアイデア
  • ところで、作中ではイスラム原理主義組織を連想させる呼称が用いられている。
    おそらくこの短編を読んだ者は共通して、「こうしたことは将来実際起こり得る」と考えるだろうと思うのだが、それが誰によっておこなわれるのか、というところで思い浮かべられる具体名は人によって異なるような気がする。
    いま「敵」として何が仮想されているか。
    そういう意味では、この短編自体がバケットテストの機能を果たしている面もあるはず。
  • 最後の文、イングランド人兵士たちがアイルランド系移民労働者を “叩きのめすかわりに耳を傾けさえしたら、まだチャンスはあるのだ” というのはなかなか示唆に富んでいる。





SFマガジン2014年11月号収載







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