::: BUT IT'S A TRICK, SEE? YOU ONLY THINK IT'S GOT YOU. LOOK, NOW I FIT HERE AND YOU AREN'T CARRYING THE LOOP.

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 ラメズ・ナム “水”



“Water”
 2013
 Ramez Naam






  • 広告を用いた無料化戦略が突き詰められたような設定の世界。
    • 脳に直結する情報デバイス・身体拡張デバイスとして生活に不可欠なものになっている「インプラント」。非常に高額な製品なのだが、インプラントを介して生理的欲求を直接惹起し商品の購買衝動につなげることを許諾すれば、無料で所持することができる。
    • 〈広告〉-〈欲望〉-〈自由意志〉っていうつながりが何ともポストモダンな感じではある。
  • どっちかというと、人間をはるかに超える速度で活動する経営・投機AIたちの描写の方がおもしろかった。AIたちが「低速で愚かで非合理的な」人間から最終承諾を得る必要があることに苛ついているっていうのが、『雪風』での戦闘知性体と人間の緊張関係を思わせる。
    • それにしても、実際ここまで巨大な損失を蒙ってしまうリスクが存在するなら、逆にこういう事態に備える防御機構もまた発達してるんじゃないかと思ったりもした。とはいえジェイコム株誤発注みたいなことは現実にも起こってるわけだし……。
    • この作品の事件も、完全にAIの活動だけで起こってるわけではなく、企画・資金提供や工作行為などで人間が介在してはいる。
    • 経済AIバトルっていうSFジャンルもなかなかおもしろそう、って思った。





SFマガジン2014年11月号収載







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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもうループを背負ってない”
―Angela Mitchell