Nils Frahm が子供の頃からの友人 Frederic Gmeiner と Sebastian Singwald と組んだユニット。2007年からの8年間のレコーディングを経て 1st アルバムをリリースした。基本的にセッションの一発録りを4トラック・テープレコーダーによるオーバーダブで加工していく手法で制作されており、テープ再生に伴う偶発性・冗長性といったものが音づくりに活かされている。
Nils Frahm のこれまでのソロ作品だとか F.S.Blumm や Ólafur Arnalds とのコラボレーションとかにおけるポスト・クラシカルな楽曲とは大きく雰囲気が異なる。ギターやドラムが前面に出た曲が多く、全体としてはエレクトロニカ〜ベース・ミュージックあるいはジャズといった趣きすらも感じる。
このメンバー3人がアルバム制作に至るまでの話はわりとドラマチック。(So chance became a band member ―A brief introduction to nonkeen)
Nils と Frederic はもともとハンブルク郊外の小学校での同級生で、学校で採集したさまざまな音源をもとに子供用テープレコーダーで曲をつくって校内放送で流したりしていた。1989年、ベルリンの壁が崩壊する直前の夏に、東ドイツに住んでいた Sebastian がスポーツ交換留学で彼らの学校へ訪れる。彼もまた音楽に興味を持ち東ドイツ製のテープレコーダーを常に携えるようなタイプであったことから、3人は意気投合。東西ドイツ統合後に彼らはバンドを組み、夏期休暇のたびに、Sebastian の叔父が所有するプレンターヴァルトの移動遊園地で演奏するようになった。
だが彼らが15歳のとき、メリーゴーラウンド事故の影響で演奏が悲劇的に中断。これを受けてバンドは解散し、3人は別々の道を進むようになる。
とはいえその後も交流は続いており、歳月が過ぎて、彼らはふたたび共に音楽をつくり始めた。セッションを重ね、子供のときと同様のテープ機材を使って曲を制作。そして10年近いレコーディングを経て、ようやくこのアルバムに結実することとなった。
……経緯が物語的すぎるためか、とくに遊園地事故のくだりなどについてちょっと疑わしいと書いているレビューもあったりするし(Brainwashed Review)、インタビューでもそのあたりを質問されてたりするんだけど(NBHAP Interviews “Of Accidents, Coincidences and Friendship: A Meeting with Nils Frahm’s new band Nonkeen”)、メンバーの受け答えでは一応大筋は実話だと語られている。
いずれにせよ “Accidental”, “By chance” といったことばがキーワードのようで、「事故」はひとつの象徴、そして「偶然性」こそはテープ機材による制作手法の特色であり、そうしたところがタイトル “The Gamble” に表されている。
特に銘記しておく曲
M-3 “ceramic people”
M-4 “animal farm”
M-5 “this beautiful mess”
M-7 “chasing god through palmyra”
nonkeen
Information
Current Location | : Berlin, Germany |
Current members | : Nils Frahm, Frederic Gmeiner, Sebastian Singwald |
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