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 NIK BÄRTSCH'S RONIN “STOA” (2006)














思わず Post Jazz なんてカテゴリを増やしてしまった。


最近、これは新しい、と思えるものがあまりなくなってきている。そもそも「あたらしい」「あたらしくない」っていう区別自体が自分のなかでどうでもよくなってきてる気もしないでもないけれど。
そんななかでも、もしかしたらこれは何か新しい音なのかもしれない、と思ったのがこのアルバム。
まあ、新しいっていうか、視野を拡げてくれる、という意味で。

よくわからないけど、奇数拍子と偶数拍子で構成されているらしい。
これはジャズなのか? 一応ジャズコーナーにあったが。
帯には〈ジャズ/現代音楽〉って書いてある。
現代音楽? そこまで娯楽性を突き放してないと思う。
...っていうのは偏見か。そういえば〈現代音楽〉ってほとんど未開の分野だ、自分にとって。前に何かの授業で聴かされた一枚があるぐらいで...

ジャンルが何かはともかくとしても、実験的であることだけにとどまっているのではなく、ちゃんと音楽としての心地よさがある。
いままでぜんぜん聴いたことのないような種類の音、っていうわけではないし、聴いて衝撃を受けるという感じでもなく、とにかくまずとてもうつくしくて、おそらくそのうつくしさのつくり方に何か新鮮なものを感じているのだろうけれど、それを語るためには自分に音楽理論の知識が圧倒的に不足しているというのが、...歯がゆい。
ひとつはっきりしてるのは、これを聴きやすいと感じるのはたぶんドラムとベースがしっかりしていて、つまりリズムが明確であるため。


Nik Bärtsch : piano, fender rhodes
Sha : contrabass and bass clarinets
Björn Meyer : bass
Kaspar Rast : drums
Andi Pupato : percussion


M-1 “Modul 36”
 静寂から、水面に広がる波紋のように浮かび上がる音。残響を後にして静寂に消えていく、ピアノとベースのコード。断続的に、浮かんでは消え、また浮かんでくる。その繰り返し。やがて、乱れ散る無数の落ち葉の如くきらめくピアノのメロディが始まって、いつしかリズムを伴い、展開。気付けばこの時点で既に7分が経過している。その時間をまったく意識させることなく。ここから情景はさらに変転していき、強弱が付けられながらさまざまな音象が立ち現れ、いつのまにか約15分。
M-2 “Modul 35”
 音楽の構成としてはなんか難しいことやってるんだろうなきっと。音としては聴きやすい。
M-5 “Modul 38_17”
 アプローチとしてはミニマル。手法はあくまで生演奏。なおこの曲は複数の「モジュール」を組み合わせてつくられているらしい。



バンド名“RONIN”ってのはどうかとは思いますけどね。


ASIN:B000E0W2AC






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―Angela Mitchell