Fridge は俺にとって、新しいアルバムが出てるのを見かけると自動的に買ってしまうようなミュージシャンのひとつ。
だからこのCDを店頭で見かけたときも当然のことながら即座に反応したのだけれど、でもこれは新譜ではない。このアルバムは、もはや入手不可能となっていた最初期の音源を集めたもの。いまはもうない Output Recordings から発表された1st·2ndおよびEP·シングル等の曲に加えて、完全未発表曲も6曲入っている。
いくら信頼を寄せているミュージシャンのものであっても、黎明期のレア音源を聴いてみるというのは、少なからずスリリングな体験かもしれない。だって、デビュー時なんてきっと技量もまだ未熟だっただろうし、楽曲の完成度だって高くないはず。いまの状態に満足しているのならば、なぜ過去の幼い一断面をわざわざ確認してみる必要があるというのか。.....でも結局聴いてしまう。だって好きなミュージシャンだし。そこでの動機は、良い音楽の探求というよりも、ただもっと知りたいという好奇心。
そうして聴き始めてみると、幻滅は皆無、そこにあるのはFridge以外の何ものでもなくて、ニューアルバムって言ってもいいぐらいの新鮮な曲が続いていく。もちろん、ライナーで Sam Jeffers がちょっと恥ずかしそうに綴っているように、テクニックは荒削りだし、曲の水準だって“Happiness”のあの完璧さには、まあ及ばない。だけど表面的な出来栄えの向こう側から、Fridge の真髄がむしろはっきり見えてくるように思う。この時点で彼らが試みていたことが、まちがいなくいまの Fridge に一直線でつながっていることが感じられる。どの曲もジャンル形式を気にせず奔放で、彼らが最初から、挑戦的であるというところにバンドのアイデンティティを据えていたんだということがよくわかる。
曲リスト*1
M-1 “EH4-800 PHASE SHIFTER”
M-2 “LOJEN”
M-3 “EDM”
M-4 “HELICOPTER”
M-5 “ZEDEX AY TI WAN”
M-6 “ANGLEPOISED”
M-7 “ASTROZERO”
M-8 “CONCERT IN YOUR HOUSE”
M-9 “TRIUMPHANT HOMECOMING”
M-10 “LIGN (EXTENDED MIX)”
M-11 “FOR FORCE”
M-12 “CASSETTE”
M-13 “A SLOW”
M-14 “SWERVE AND SPIN”
M-15 “ORKO”
M-16 “DISTANCE”
M-17 “EFF”
M-18 “ARR”
M-19 “EYE”
M-20 “DEE”
M-21 “DJI”
(自分用 良かった曲メモ:M-1, 2, 4, 7, 9, 12, 13, 14)
see also
“EPH REISSUE” http://d.hatena.ne.jp/LJU/20040619/p1
“HAPPINESS” http://d.hatena.ne.jp/LJU/20040605/p1
“THE SUN” http://d.hatena.ne.jp/LJU/20070706/p1
official: http://www.brainwashed.com/fridge/
myspace: http://www.myspace.com/fridgemusic
Output Recordings: http://www.outputrecordings.com/
ASIN:B001Q8FS48
*1:“EARLY OUTPUT 1996-1998”のスリーブの情報および Output Recordings のサイト情報に拠る。“Sevens and Twelves”は、それまでのシングルおよび未発表曲を集めたコンピレーションだけど、このアルバム収録曲のレコーディング年月日は(“EH4-800 PHASE SHIFTER”を除き)よくわからなかった。