ニューヨークを拠点にする二人組ユニットの、5年振り4thアルバム。
前作までの The Books は、ローファイな表面の下に緻密な構造を感じさせるいかにも「都会的フォークトロニカ」って感じの音だったけど、今作は、スリーブ解説にもあるように “more driven” な方向を意図してつくられたらしい。*1
とくに M-4 “A Cold Freezin' Night” にはそうした方向がよく表れている。
この曲では “Talkboy” という玩具レコーダーで録音されたサンプルが使われていて、姉弟だか兄妹だかのふたりが容赦なく侮蔑語で口喧嘩してるやり取りがチープなビートに乗り、前作までにはなかったような暴走感覚の曲になっている。音だけでなく子供たちの発言内容も含めて “more driven” という印象につながっているのだけど、かわいらしい子供声がアグレッシブな言葉を交わしているというギャップは、トイポップな風味とビートの攻撃性が共存するこのアルバムの方向性を象徴していると思う。
他の曲も基本的なつくりとしては同様に、昔の雑多な映像や音源からのサンプリングにアコギなどのパートを加えて構成されている。
ビートの強調された曲もあるし、ヴォーカルをメインに置いて穏やかに展開する曲もあってさまざまだけれど、背景音像的なつくりが目立っていた過去作と比べると、一曲ごとのまとまりが意識されているような気がする。
特に銘記しておく曲
M-3 “I Didn't Know That”
M-4 “A Cold Freezin' Night”
M-5 “Beautiful People”
M-6 “I Am Who I Am”
M-14 “Group Autogenics II”
“LOST AND SAFE” (2005) http://d.hatena.ne.jp/LJU/20050426#p1
official : http://www.thebooksmusic.com/
myspace : http://www.myspace.com/thebooksmusicpage
label : Temporary Residence Limited http://temporaryresidence.com/
ASIN:B003N016CK
*1:cf.
A time and a time and a time and a time: The Books' Nick Zammuto on sample-heavy songwriting
http://www.avclub.com/madison/articles/a-time-and-a-time-and-a-time-and-a-time-the-books,35381/
The Books make art from 'detritus'
http://host.madison.com/entertainment/music/article_c50d3bf3-f7f4-54a6-8ebf-92d6f53cabad.html