最近、自分の入手する音源がCDからMP3へはっきり移行しつつあるんだけど、このアルバムについてはやっぱりCDの方が良いなぁ…って思う。というのは、The Designers Republic によるカバーアートがすばらしいので。アルバム製作に要した全費用を模したリストになってるんだけど、パッケージのつくり全体に Apple 製品のような開梱の感動がある。最深部で得られるのはCD本体、そのひとつ前には機材と曲の対応表。基本的にハードウェアメインでつくられてるっていうのが主張されている。
楽曲については、まず、全般としてオールドスタイルなシンセサウンドって感じは受ける。けれどそのわりには音要素の組み合わせ・展開が予想つかない。明確で記憶に残るリフに頼るようなことをしてなくて、毎回新鮮な気持ちで聴くことになってる。
Hardfloor が昨年 “The Art of Acid” というアルバムをリリースしてたんだけど、おもいっきりTB-303サウンドのままなのがすごく懐かしかった一方、音自体も構成もぜんぜん変わってないのが逆にあのスタイルの完成度の高さを示してる、って思って。それに比べると “SYRO” は、音要素は古いといえば古くはあるものの、それらによって構築された楽曲がまったく90年代テイストかっていうとそうでもなく、かといって現在のトレンドに乗ってるわけでもないし……。結局、唯一無比って語を使いたくなってしまう。楽曲として高水準、っていうのは確実。
Aphex Twin って音楽史の系統樹上、後のジャンルへ大きな影響を与えた存在なはずだけど、同じような試行をおこなってる類例は他になかなかいない気がする。
アンビエント系統であれテクノ系統であれ、Aphex Twin の楽曲は基本的にはベッドルーム・テクノという範疇。“SYRO” もこうした方向から外れてはいない。リズム/ビート志向ではあるんだけど、身体というより精神に作用する音。
……って思いながらいろいろ見てたら、RDJが持ってたレーベル Rephlex が当初掲げたコンセプトが “braindance” というものだったと知って、やっぱりそういうことだよなぁって思った。
特に銘記しておく曲
M-4 “4 bit 9d api+e+6 [126.26]”
M-6 “CIRCLONT6A [141.98][syrobonkus mix]”
M-8 “CIRCLONT14 [152.97][shrymoming mix]”
M-9 “syro u473t8+e [141.98][piezoluminescence mix]”
M-11 “s950tx16wasr10 [163.97][earth portal mix]”
Aphex Twin
Information
Birth name | : Richard David James |
Origin | : Cornwall, UK |
Born | : 1971 |
Years active | : 1985 - |
Links
Label | : Warp http://warp.net/artists/aphex-twin/ |