Savages をもっとも端的に代表する性質は、“シリアスネス” という言葉で示されていると思う。これに “ユーモアレス” という語を加えればさらに万全。
音源発表に伴ってマニフェストを提示してしまうほどに真剣で深刻なスタンスは、今の時勢ではめずらしく映る。メッセージや主張といったものを高く掲げたミュージシャンが他にいないわけではないとしても、それなりに注目を受け年次アワードにもノミネートされるような対象範囲のなかで Savages ははっきりと目立っている。*1
1st が純正に示していたこの性向は 2nd でも失われていない。決定的に変わった点があるとすればそれは、“Adore Life” というタイトルを冠するこの 2nd が “Love” という主題を強く発していること。
“But most of all it’s about love, every kind of love. Love is the answer.”
―Adore Manifesto http://savagesband.com/#words
こんな一瞬前向きというか暖かみとも感じてしまうような語を謳うようになったからといって、1st に溢れていた鋭さが減じたわけでは必ずしもない。だいたい、十全に備わっていて悩む必要もなく満たされているようなものならわざわざマニフェストに据えることもないだろうし……。“Adore” も “When in Love” も “T.I.W.Y.G.”(This is what you get) も、シンプルな歓喜や充足といった内容ではまったくなく、歌われているのはいずれも葛藤や疑問。
けれどもそれらが曲として放つその力強さには、迷いもためらいも感じられない。ただ一直線に重みを持って前進していく。主張するその姿勢、まぶしいほどにひたすら突き進むその摯実。伝えようとしている内容が何であれ、このひたむきさこそが Saveges の特質であり変わらぬ美点だ。
“Adore” という言葉へ普通に訳語を充てるなら「熱愛」となるのだろうけど、自分としては「一途」あるいは「渇望」という含みをもって受け取りたい気がする。
特に銘記しておく曲
M-1 “The Answer”
M-2 “Evil”
M-3 “Sad Person”
M-6 “I Need Something New”
M-7 “When in Love”
Savages
Information
Origin | : London, UK |
Years active | : 2011 - |
Current members | |
Ayse Hassan | : Bass |
Fay Milton | : Drums |
Gemma Thompson | : Guitar |
Jehnny Beth | : Vocal |
Links
Official | : http://savagesband.com/ |
YouTube | : http://www.youtube.com/user/SAVAGESBANDLONDON |
: https://twitter.com/savagesband | |
Label | : Matador http://store.matadorrecords.com/adore-life |
*1:自分の考えを強く示すようなスタイルがポピュラー・ミュージックからまったく衰退してしまっているわけでもない。そういう類型はヒップホップという分野でいくらでも確認できる。