Oval こと Markus Popp による6年振りのアルバム。タイトルは本人の名から取られているわけだけど、“Pop” という一般概念の方も意識されているはず。実際、音そのものがポップであることはまちがいない。解放感、軽快、きらめき。昼の自然光か夜の人工光かはともかく、明るいテイストに溢れている。用いられている要素としてまず目立つのは、強く補正されたヴォイス・サンプル。そして高音で連続するパルス、散りばめられたクリアなエレクトロニクス。絢爛にサウンドが響き合う濃密な空間。
だけどこれらをあらためて単体の楽曲というレベルで捉えるとき、それをポップと呼ぶことには少しためらいが残る。耳触りはたしかにポップに聞こえるのに、総体としての曲は奇妙に分裂して奏でられているからだ。レイヤーの重なりと表現することもできるけど、どちらかといえば、独立した曲が違う部屋で複数流れていてそれがたまたまひとつの部屋で重ね合わさって聞こえた……という感覚に近い。
最初聴いたときはわりと驚きがあった。一聴すると別々の曲を無造作に並走させただけでその統合を放棄しているようなものに聞こえるのに、聴き手のなかではひとつの音楽体験として処理される、というところに。けれどもこの特異な構造にはすぐ馴れて、分裂と並走は意識から外れていく。ポップなるものが乗算されてまったくあたらしい準位に到達している、と言うこともできる。
Oval / Markus Popp
Information
Origin | : Darmstadt, Germany |
Born | : 1968 |
Years active | : 1991 - |
Links
Official | : http://www.markuspopp.me |
bandcamp | : https://oval.bandcamp.com |
vimeo | : https://vimeo.com/user7595968 |
: https://twitter.com/markuspopp_oval | |
Label | : UOVOOO http://www.uovooo.com |