5thアルバム。今年始めにリリースされたものだけど、そういえば記録してなかったので書いておく。
なぜ急に思い出したかというと、先週12/2に DOMMUNE でやってた Four Tet / Kieran Hebden のDJプレイが、それはもう溜息が出るほどにすばらしかったので。
もともとポストロックのひとだったはずなのに(Fridge)、フォークトロニカだとかジャズ・ドラマーとの実験的ユニットだとかを経由した上で、前作のEP “Ringer” から明確にフロア路線に移行した…… というような経緯をたどっている。初期のスタイルが薄められてしまったことに残念な気持ちがまったくないとはいえないのだけど、でもこうやって大きく変遷したにもかかわらずそれもまた好きな音楽になっているというのは、結局のところ俺のなかでこのひとに対する音楽的信頼感が完全に確立されたということなのだろう。
そして先週の DOMMUNE でのプレイこそは、そんな Kieran Hebden のひとつの集大成だったと思う。再配信もしくはCDリリースを切に望んでいるところだけど、この “There Is Love In You” でもあの日の空気は感じられるし、あるいは少し前にフリー配布されていた音源 “FACT mix 182” でもDJingをかなり追体験できる。(FACT mix 182: Four Tet - FACT magazine [配信終了])
12/2にかけられた曲の一部を YouTube リストにしてる人がいた;
http://www.youtube.com/view_play_list?p=3264D19C94BAC581
やはり単体で聴くとニュアンスは変わってしまう……とは言いつつこれ聴いてたらわりと記憶よみがえってきたかも。the XX のリミックスとか Caribou とか Loose Joints とか。こうしてみると実際けっこう多様な曲をかけてたんだと思うけど、聴いてたときはそんなに異種混合のようには感じなかった。
……なんかあんまりこのアルバム自体の話になってないな。でもこのアルバムがつくられていたからこそ、先週のあの奇跡的な夜があり得たのだと思う。たしか最初の方で “Love cry” がかけられて、そのあともずっとこの曲の余韻が続いていくような展開だった。
特に銘記しておく曲
M-1 “Angel echoes”
M-2 “Love cry”
M-3 “Circling”
M-5 “Sing”
M-8 “Plastic people”
とりわけ “Angel echoes” “Love cry” での女性ヴォイスの使い方に陶酔する。
本当のところ、Fridge の雰囲気がすっかり消え失せているというほどでもない。メインで響く4つ打ちのキックに感覚がどうしてもさらわれてしまうけれど、背後を占める多彩な音の丁寧な構成には、紛れもなくポストロックの香りがある。
see also :
Four Tet “Ringer” (2008) http://d.hatena.ne.jp/LJU/20080425/p1
Four Tet “everything ecstatic” (2005) http://d.hatena.ne.jp/LJU/20050528/p1
Four Tet “ROUNDS” (2003) http://d.hatena.ne.jp/LJU/20040716/p1
Kieran Hebden and Steve Reid “Tongues” (2007) http://d.hatena.ne.jp/LJU/20070329/p1
Kieran Hebden and Steve Reid “The Exchange Session Vol. 2” (2006) http://d.hatena.ne.jp/LJU/20060709
参考レビュー :
ELE-KING review(野田努) : http://www.dommune.com/ele-king/review/album/000715/
BBC music review : http://www.bbc.co.uk/music/reviews/nn8r (試聴あり)
ASIN:B002ZIAC4O