Miles Whittaker と Sean Canty のふたりによるユニット。
とにかく不穏な音。紛うことなくダーク。
ノイズ混じりでミニマルなアンビエント・ダブ。メロディ的なものはなく、ただ音像が提示されているだけ、といったところ。
ジャケットがまたこの音に実に合っていて、なんかステータス異常化攻撃とかしてきそうな敵との危機的遭遇、っていう感じのイメージがよく表現されてる。
今まであまりこういう系統の音楽は聴いてこなかった。……というようなこと以前に、このアルバムに関しては、一聴してまず直感的に避けたくなる狂気と瘴気が満ちていて、門をくぐって入ること自体がなかなかできなかったのが事実。
でも、2012年のベストアルバムとして挙げているレビューを複数見て興味が向き、これだけ入りがたい音の何がどう評価されているのだろう?というのを確認しようと思ってとりあえず聴いてみたら、過去に聴いてきた音楽のなかで何がもっとも近いかというのが全然思い当たらないぐらい自分の趣向とまったく異質な世界*1。そしてそれにもかかわらず不思議なことに、聴き込めば聴き込むほど捕らわれていくことになって。不快が反転して快楽になるというようなことがあるのだとしたらまさにそういう体験としか言いようもなく。
これを他のひとに薦めようとは思わないし、まかりまちがって聴こうとしてる人がいたらむしろ全力で止める、ぐらいに思ってるんだけど、自分としては秘やかに高評価で、自分のライブラリの片隅で確実な一角を占め続けていくだろうと思えるアルバム。
Information
Origin : Manchester, UK
Founded : 2009
Current members : Miles Whittaker, Sean Canty
Links
Press release : http://www.modern-love.co.uk/releases/demdike-stare-elemental-2cd
Label : Modern Love http://www.modern-love.co.uk/
ASIN:B007152ES8
*1:かろうじて近いものがあるとすれば、Tangerine Dream の “Stratosfear”。でもこのアルバムと比べたらだいぶ平穏で日常に近いと思う。