::: BUT IT'S A TRICK, SEE? YOU ONLY THINK IT'S GOT YOU. LOOK, NOW I FIT HERE AND YOU AREN'T CARRYING THE LOOP.

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 Moritz Von Oswald Trio “Sounding Lines” (2015)



サウンディング・ラインズ






 ダブ・テクノ+アフロ・ビート・ドラム→ミニマル・エレクトロニック・ジャズ。
 Basic Channel創始者 Moritz von Oswald と、Sun Electric の Max Loderbauer、そこに Fela Kuti の Africa 70 でドラムを担当していた Tony Allen が加わったという構成。
 ドラムがまず確固たる存在感と牽引力を放っているけれど、反復するダブ・サウンドの音圧も決して劣らず完璧なバランスで融け合い、テクノともジャズともつかないハイブリッドな聴覚刺激に結実している。
 音場としてかくも統一されているのはミキシングの巧緻によるところ大。
 スネアの微細な反響やバックグラウンドでたゆたうエレクトロニカなど、精妙なディテールを聴き込んで堪能できる音楽。


 タイトルの付け方がおもしろい。
 “Sounding Line” というのは、「鳴り響く」という意味も意識されてはいるだろうけれど、語の本義としては「測深錘」を指す。各曲は番号のみで表記されており、固有の識別名称を持たない。アルバムタイトルは複数形としての “Sounding Lines”。つまり測深錘を次々投げ込んで未知の水深を測っていく、そういった試みの総体がこのアルバムだということなのかもしれない。不可知の領域に音を投じて世界の反応を探る、というような。
 M-5 のタイトルだけ “Spectre” という語を伴っているけど、これは「幽霊」(BrE:Spectre, AmE:Specter) を意味する他に、フランス語だといわゆる「スペクトル」、すなわち光の波長分解を示す語でもあって、これもまた解析・調査といった意味を含んでいることになる。




特に銘記しておく曲
 M-1 “1”
 M-3 “3”
 M-5 “5 (Spectre)”
 M-6 “6”
 M-7 “7”





Moritz Von Oswald Trio

Information
Years active: 2009 -
Current members 
  Tony Allen: Drums
  Max Loderbauer: Synthesizers
  Moritz von Oswald  : Percussion Sequencing, Synthesizers, Additional Electronics

Links
Label: Honest Jon's Records  http://honestjons.com/shop/artist/Moritz_Von_Oswald_Trio/release/Sounding_Liner

ASIN:B00VTDQ9CK







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“でも、これはごまかしよ、ね。つかまったと思ってるだけ。ほら。わたしがここに合わせると、あなたはもうループを背負ってない”
―Angela Mitchell